福田正博がアギーレ監督に期待する「日本代表強化策」 (3ページ目)

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 アギーレ監督は、これまで率いてきたチームで、メンバーを固定することがほとんどなかった。メキシコ代表でも、アトレティコ・マドリードでも、エスパニョールでもそう。それはつまり、アギーレ監督の基本戦術である堅守速攻の場合、ポゼッションサッカーのようにコンビネーションを高める必要がそれほどないため、対戦相手との兼ね合いや、選手の調子の善し悪しで、メンバーを入れ替えやすいということだ。

 そのため、10月の2試合でも所属クラブで活躍している好調な選手が招集されるはずで、とくに前線の選手は多くの組み合わせが試されるだろう。

 前線の「3」の両サイドのポジションは、右に本田圭佑がいて、左には岡崎慎司や柿谷曜一朗、9月に結果を出した武藤嘉紀、さらに香川真司もいる。誰を起用するのか迷うほどだが、それに加えて、サイドからドリブルで仕掛ける選手が少ない印象だ。時間とスペースがない現代サッカーにおいて、個の力で相手の守備陣形を崩せる選手は、大きな武器になる。ガンバ大阪の宇佐美貴史やヘルタの原口元気、セレッソ大阪の南野拓実など、好調を維持しているドリブラーを起用してもらいたいところだ。

 また、ブラジルのような強豪と戦う場合、飛び抜けた特長を持っている選手の方が相手に脅威を与えるもの。その意味で、ロンドン五輪で世界に通用するスピードがあることを証明した永井謙佑も、日本代表で見たい選手のひとりだ。アギーレ監督の目指す堅守速攻のスタイルならば、彼のスピードが生きるスペースが前線に存在する。

 そして、アギーレ監督が最も頭を悩ましているのが、前線の「3」の中央の1トップだろう。イブラヒモビッチ(パリSG)のようなFW がいれば悩むことはないが、残念ながら日本には高さ、強さ、技術のすべてを兼ね備えたFWは見当たらない。前回は皆川佑介が起用されたが、今回はハーフナー・マイクの招集が予定されている。194cmの高さを持つハーフナーは、大きな武器になる可能性を秘めている。彼がリーガ・エスパニョーラで揉まれて、さらに成長してくれることに期待したい。

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