福田正博がアギーレ監督に期待する「日本代表強化策」

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 アギーレ監督は、9月のウルグアイ戦(0-2)とベネズエラ戦(2-2)で、「堅守速攻」という新生日本代表の戦い方を見せてくれた。これは格上の強豪国と対等に渡り合うには適した戦術といえる。

次は10月10日にジャマイカ戦、14日にブラジル戦が予定されているアギーレジャパン次は10月10日にジャマイカ戦、14日にブラジル戦が予定されているアギーレジャパン だが、日本サッカー界は「ダブルスタンダード」という問題を抱えている。これは、格上との戦いが多いW杯などの「世界」での戦いと、格下との戦いが多い「アジア」での戦いでは、基準が異なるということ。

 つまり、W杯などの"世界での戦い"では、格上の相手に押しこまれることが多いため、堅守速攻は有効な手段になる。一方、"アジアでの戦い"では、相手が日本より力が下の国が多く、自陣に引いて守りを固めてくるケースがほとんどなので、日本が堅守速攻でゴールを奪うのは難しい。その問題に、アギーレ監督がどう対処して、チームを強化していくのか興味深い。

 日本代表の強化を考えたときによく言われるのが、「強豪国との試合を増やす」ということだ。しかし、強豪国との対戦経験が増えるだけでは、戦い方の多様性というものが身に付かない。格上との試合と同じくらい、実力が近い相手や、格下との対戦もチームの強化にとって重要なことだ。

 たとえば、オシム監督時代の日本代表は、ヨーロッパ遠征で、強豪国との試合だけではなく、地元のクラブチームとも数多く試合を組んでいた。これは、いろいろなタイプのチームと対戦することで、選手が戦術的理解を深めて、さまざまな局面に対応して、ダブルスタンダードを克服する狙いがあったのだと思う。

 ただし、オシム元監督は代表監督に就任する以前からJリーグのジェフ市原(現・千葉)で指揮をとり、日本の文化や日本人選手のメンタリティというものを理解していた。だからこそ、独自の視点からこうした強化策を打ち出せたのだと思う。そう考えたときに、代表監督に就任する前は日本サッカー界と接点のなかったアギーレ監督に、同様のことを求めるのは難しいかもしれない。

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