2試合で表出したアギーレJの「3つの課題」 (3ページ目)

  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 さらに、2試合で4失点を喫したが、そのほとんどはDFライン付近でのビルドアップでのミスが原因だった。とくにウルグアイのような強豪チームは、こちらがミスをしたらそのミスを見逃してはくれない。

 ビルドアップに問題があった理由としては、日本代表のメンバーが代わったということや、陣形を4-2-3-1から不慣れな4-3-3に変えたということもあるだろう。しかし、一番大きな要因は、そもそもビルドアップできる選手を起用していなかったことだと私は考えている。

 森重はセンターバックとしてビルドアップをする経験はあるが、アンカーやボランチとしてのビルドアップに関しては経験があまりない。中盤の底は相手がパスカットを狙って激しいプレッシャーをかけてくる危険なエリアであるため、味方からボールを引き出して、正確なロングフィードを前線に送るのは、非常に難しい仕事だ。

 そのためミスが多くなり、それが失点につながった。ただ、守備面は不安が少ない森重だけに、この位置でのフィード能力が向上すれば、アギーレ監督のやりたいサッカーが、現実的になってくるはずだ。

 また、DFラインからビルドアップする時に、4−2−3-1に比べて、4−3−3ではDFがボールを預ける守備的MFの数が、ふたりからひとりに減る。しかも、今回の親善試合で、ボランチの前の中盤で2試合とも起用された細貝は、DFラインからボールを引き出して、パスを散らすタイプではなく、体を張って相手の攻撃の芽を摘む“潰し屋”タイプ。ベネズエラ戦で先発した柴崎岳は、パスを散らせるタイプといえるが、初戦のウルグアイ戦に中盤で出場した田中順也は本来FWの選手だ。

 その起用法を見ていくと、アギーレ監督は、「ビルドアップはほとんど必要ない」というメッセージを込めてメンバーを決め、選手をピッチに送り出したのかもしれない。アンカーの位置からビルドアップするとボールを失うリスクがあるが、そこを省略してセンターバックからのロングフィードで前線のFWにパスを出せば、そのリスクは減る。アウトサイドの本田圭佑、柿谷曜一朗や、1トップが落としたところを2列目のMFが受けて、ダイレクトでサイドに展開すればゴールのチャンスが増える。

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