高橋陽一氏『大空翼の夢はW杯優勝、作品もそこを目指したい』 (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●村上庄吾 photo by Murakami Shogo

 最後に、高橋先生が考えるスポーツ漫画の魅力を聞いてみた。

「そのスポーツをやっている子供たちにとっては、想像力を膨らませるなど、すごく影響力がある。また、スポーツマンガがヒットすると、そのスポーツの競技人口も増えます。たとえば、『スラムダンク』がヒットするとバスケット部員が増え、もっと昔であれば『エースをねらえ』のヒットで女子テニス部員が増える。

 もちろん、スポーツに限らず、漫画自体が人の心をゆさぶって、人の気持ちを上向きにしてくれるものだと思うので。特に子供の夢、それを湧き上がらせるもので有り続けるべきだと思いますね。作品で気持ちを解放させることもそうですが、たとえばチームプレーの中で友情の大切さを知ったり、ライバル同士の人間的なかかわりの中で相手をリスペクトしたり、仲間を思うことを知る。そういう部分がスポーツ漫画の魅力でしょうね。それに加えて、必殺技や試合のスペクタクルも含め、総合的なものがスポーツ漫画の楽しみなんじゃないでしょうか」

 高橋先生は、「翼の夢はワールドカップ優勝なので、今後の作品作りもそれを目指して頑張っていきたいです」と、今後への意欲を見せている。常にリアルな世界の一歩先を歩き続ける『キャプテン翼』が夢を実現し続けてくれれば、いずれ現実の世界でも、日本代表がワールドカップ優勝を遂げる日がやって来るような気がする。


キャプテン翼 ライジングサン1 


「リーガ エスパニョーラ」の名門、バルセロナに入団し、活躍を続ける大空翼。先に見据えるのは、U-23日本代表を率いての、五輪での金メダル。翼たちの新たなる挑戦が始まる! 発売中。
http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/tsubasa.html

高橋陽一
1960年生まれ。東京都葛飾区出身。1980年、週刊少年ジャンプにて読切「キャプテン翼」でデビュー。翌'81年、同作で連載デビュー。83年にはテレビアニメ化もされ、日本のみならず世界のサッカー少年たちに多大な影響を与えた。その他の作品に『CHIBI』『ハングリーハート』『100Mジャンパー』など。
現在、大阪で「ボールはともだち。キャプテン翼展」開催中(~8月31日)。
http://tsubasa-ten.jp/

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