W杯から戻った齋藤学が目指すもの。「仕掛けて崩す」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLOSPORTS

「自分はまだまだだとは思いますが、少しは成長できていると思います。ロンドン五輪のときよりも、仕掛ける選択肢はずっと増えていますし。今思えば、五輪のときはドリブルも全然抜けていなかったですよ。もっともっと、いいプレイができるはずです。ヘディングもそうだし、得点の形をもっと確立したいですね」

 齋藤は貪欲だ。その欲を満たすことで、大きくなってきた。J2、J1、五輪、アジアチャンピオンズリーグ、彼はいつでも舞台に立つことで進化を遂げてきたのだった。

 残念ながら、ブラジルW杯の舞台に齋藤は立っていない。不本意だったろう。チームが不甲斐ない戦いをしているのに、出番さえ与えられなかった。嫌気がさしてもおかしくない。

 しかしそういう無念さも、彼は過去に燃料として飛躍してきた。

「目標が明確になりましたし、目指すところもわかりました」

 齋藤は不敵に言った。仕掛け、崩す。彼はブラジルW杯日本代表に足りなかった、ゴールを匂わせるプレイを磨いていくだろう。

 そしてW杯後に再開したJリーグ、彼は吹っ切れたようなプレイを見せている。7月15日のサンフレッチェ広島戦(ACLで延期になっていた試合)では逆転ののろしとなる同点弾を決めた。さらに7月19日のセレッソ大阪戦でもゴールを放り込み、2試合連続の得点を記録している。

「まだまだ良くないです!」

 齋藤は口癖のように言う。目指している理想は高いのだ。

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