代表強化を本気で考えたとき、Jリーグが選択すべき道 (4ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by JMPA,Getty Images

日本代表の指揮官として理想的な存在だったオシム監督。日本代表の指揮官として理想的な存在だったオシム監督。 日本にプロリーグができて約20年。今、誰もが早急に結果を求め過ぎているような印象がある。日本代表の強化は長い目で見なければいけない。その際、最も大切なことは、私自身は監督選びにあると思っている。そして、日本代表監督に一番に求められるものは、日本人のこと、日本の文化のことを理解していることだと思う。そのために、かつてのオシム監督のような人材を、各クラブが招聘すべきではないか、と考えている。

 代表監督というのは、4年間務めたとしても、日本人選手と接している時間はそれほどない。しかしクラブであれば、毎日日本人選手と接して、日本人のメンタリティーというものを深く知ることができる。そこから、日本人の特徴を生かすには、どんなマネジメントをして、どんなサッカーをすればいいかが見えてくる。そうやって、Jリーグで何年か指揮をとって、結果を出した監督が代表監督を務めるという、まさにオシム監督のような形が理想的だと思う。

 とりわけオシム監督は、日本の事情というものをすぐに吸収して、世界の中における日本の立ち位置をよくわかっていた。なおかつ、「格下として戦う」ことができる人だった。Jリーグの中で、豊富な戦力がそろっていたわけではないジェフユナイテッド千葉の指揮をとって、そういうチームでも勝てるサッカーを実践し、結果を残した。そのうえ、ユーゴスラビア代表監督としてW杯に出場したキャリア(※)もあった。

※1990年イタリアW杯でユーゴスラビア代表を指揮して、チームをベスト8に導いた。

 そんな監督を、各クラブが無理ならJリーグ主導で、もっと呼んでくるべきだろう。Jリーグは今、そこに一番お金をかけるべきではないか、と思っている。そうすれば、Jリーグ全体のレベルアップも図れるし、日本代表の強化にもつながっていくのではないだろうか。

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