J1リーグ再開。後半戦の上がり目、下がり目チームは?

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by AFLO

 同じように得点力不足に苦しんでいるのは、9位の横浜FM(勝ち点20)だ。昨季16点を奪ったマルキーニョスが神戸へ移籍。伊藤翔(前清水)や矢島卓郎(前川崎F)といったFWを獲得したが、その穴を埋めるのは簡単ではなかった。また、藤本淳吾(前名古屋)や三門雄大(前新潟)の加入によって中盤が再編されたうえ、過密日程による疲労からか、中村俊輔も昨季ほどのパフォーマンスを見せられなかった。得点力向上のために獲得した元G大阪のFWラフィーニャ(前蔚山現代)をうまく組み込めるかどうかが、浮上のカギとなりそうだ。

 J1の18チーム中、最も大きな動きがあったのはC大阪だろう。フォルランを獲得し、開幕前には優勝候補にも挙げられていたが、期待を大きく裏切る13位(勝ち点16)で中断期間に入った。低迷した要因のひとつは、ACL参戦による疲労と、過密日程のためにトレーニングの時間が取れず、ランコ・ポポヴィッチ新監督の戦術が浸透しなかったことが挙げられる。また、フォルランのコンディションも万全でなく、昨季21ゴールの柿谷曜一朗も昨季とは役割が変わったため、得点力を発揮できなかった。

 クラブは中断期間中にポポヴィッチ監督を解任し、ブラジルワールドカップの決勝でゴールを奪ったマリオ・ゲッツェ(バイエルン)を指導したこともあるドイツ人指揮官、マルコ・ペッツァイオリを招聘。ハイプレスをベースとした新戦術に取り組んでいるが、柿谷がスイスのバーゼルに移籍したため、C大阪は大きな転換期を迎えている。

 また、今は中位に甘んじているものの、後半戦の主役となってもおかしくないのが、8位の新潟(勝ち点22)と、11位のFC東京(同18)だ。昨季の終盤、クラブ史上初の5連勝を飾った新潟は今季もソリッドな守備が健在で、12失点はリーグ3番目に少ない。しかし、7引き分けはリーグ最多で、勝ち切れないゲームが多かった。それを解消するため、スペインのバレンシア・Bチームからかつて年代別の日本代表にも名を連ねたFW指宿洋史を獲得した。

 新潟にはすでに、昨季23ゴールをマークした川又堅碁、U-21日本代表として活躍する鈴木武蔵、柔らかいポストプレイとシュート技術に長けた岡本英也、元浦和のドリブラー田中達也と、タイプの異なる4人のストライカーがいる。そのうえ、身長195センチの指宿が加入。前線のポジション争いは熾烈となり、川又にもポジションの保証はない。

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