2014.07.19

J1リーグ再開。後半戦の上がり目、下がり目チームは?

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by AFLO

 鳥栖と神戸は、「旋風を巻き起こした」と言っていいだろう。J2から復帰したばかりの神戸はふたりの新助っ人FW、ペドロ・ジュニオールとマルキーニョスの破壊力が極めて高かった。ふたり合わせて16ゴール。チームの総得点26はリーグ最多タイだ。攻守のバランスを司(つかさど)るボランチのシンプリシオがケガで離脱してから勢いは陰ったものの、このブラジル人ボランチもすでに復帰。中断明けから再び旋風を起こす準備は整っている。

川崎Fの中村憲剛は「順位はまだ気にしないほうがいい」と語る 一方、鳥栖の躍進に、「サプライズ」の色は薄い。昨季は12位で終わったが、2012年は5位になっている。4年目を迎えるユン・ジョンファン監督のもと、身体を張ってゴールを守り、ハードワークで相手を圧倒。素早く縦に仕掛けるスタイルにブレはなく、エースの豊田陽平も8ゴール(得点ランキング3位)と健在だ。さらに、中盤でボールを持てるようにもなり、攻撃の幅が広がった印象である。加えて、4アシストを記録している左SBの安田理大、コントロールタワーのMF岡本知剛、FWからDFまでこなせる谷口博之らの加入によって、戦力の上積みがなされている。どのチームも疲弊する夏場の戦いで、自慢の走力が衰えなければ、ACL圏内はもちろん、タイトル獲得も現実味を帯びてくる。

 過密日程を余儀なくされたACL出場組の広島、横浜FM、川崎F、C大阪の中で最も健闘しているのは、川崎Fだ。風間八宏体制3年目――、自分たちが主導権を握る攻撃的なスタイルの浸透具合は、かなりのものだ。卓越したパスワークで相手を押し込み、相手を外す動きとピンポイントのパスで、敵の守備網をズタズタに切り裂く。その中心が中村憲剛なのは間違いないが、パートナーのMF大島僚太の存在も見逃せない。

 この小柄なボランチは、ワンタッチ、ツータッチでボールを動かし、自分も動いてボールを受ける、風間スタイルの申し子的な存在。とにかくボールを奪われない。大島の成長が中村にかかる負担を大きく軽減させている。残念ながらACLはラウンド16で姿を消したが、ここにきて3位に浮上したように、過密日程から開放され、照準をリーグ初制覇に絞れるのも大きい。「得点王になって、ACLも出て、W杯にも出た。あとはリーグタイトルでしょう」と、エースの大久保嘉人も戴冠を視野に入れている。

 そして、リーグ3連覇を狙う広島は現在7位(勝ち点22)。スタイルの完成度でいえば群を抜くものの、相手チームの入念な「広島対策」に苦しんでいる印象だ。ここにきて明らかになっているのが、得点力の低下。中断期間のキャンプでは、攻撃のトレーニングを集中的に取り組んだという。得点力アップには佐藤寿人の爆発が不可欠だが、一方で、MF野津田岳人、FW浅野拓磨、FW皆川佑介らヤングアタッカーのブレイクがチームをさらなる高みに押し上げるかもしれない。