ふたりの漫画家がW杯で目撃した「日本人らしい」サポーターとは? (2ページ目)

ヤマザキ たとえば海外の人では、ビール飲み放題でしっちゃかめっちゃかに暴れるような人たちもいますけれども、欧米の人はもともと「サッカーなんてもともとそんなものなんだ」と思って見ているところがあります。乱暴な酔っぱらいも現れれば、会場が汚くなることもしょうがないし、すべてが理路整然とまとまるものじゃない、って。

 だから、お行儀の良い日本のサポーターの登場はとても新鮮だったんだろうけど、どこかでその礼儀正しさに窮屈さを感じる日が来るかもしれないですね。「日本の人たちも、もうちょっとくらいハメを外してもいいんじゃなのか?」って、そのうち余計な事を言い出すかもしれませんよ。

とり・みき 僕は、いいところは残してほしいんです。乱暴な外国サポーターの真似はしないで。

ヤマザキ もちろん、他国の真似はしなくていいと私も思う。本能の赴くまま、高揚感にまかせて、それぞれの国民性に適応した応援を普通にやっていればいいんですよね。

とり・みき 僕はJリーグではFC東京を応援しているんですが、最初にファンになったのは応援が面白かったからなんです。選手に対して、ヤジじゃなくてちょっとウィットの効いたギャグのような、ひねった応援がいろんなところから自然発生的に出て来て、そのインプロビゼーション(即興演奏)的な応援がすごく面白くてファンになっていったんですが、最近はちょっと画一的になってきた。

ヤマザキ
 選手やプレーじゃなくて、応援からFC東京のファンになった?

とり・みき そういうところもあったんです(笑)。でも、最近では東京も他のクラブサポとそんなに変わらないタイプの応援になっているのがちょっと残念なんですけど。

ヤマザキ オリジナルを維持するのは何事も日本では大変ですからね。結局、長いものに巻かれていっちゃうという事なのだろうか......。

とり・みき リーダー的な人が何人かいるんですけど、その人たちのリードに合わせてみんながチャントを延々歌う、というタイプの応援になっていて。今回も、日本のサポーターはやっぱり応援の統制が取れてるんだよね。

ヤマザキ 団結力で構成されていて、列も乱してませんでしたね。運動会や体育祭の応援をちょっと思い出してしまった。

とり・みき でも、あまり自由度がない。試合の流れに関係なくずーっと最初から最後まで歌ってる。

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