福田正博が考察。これから日本サッカーが進むべき方向 (2ページ目)

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 自分たちのサッカーを型にはめすぎてしまい、それがうまくいかないときの対応がうまくできず、さらに後手をふんでいった。パスがつながらないので、選手同士の距離感が悪いと考え、もっと味方に近づこうとした。ただ、近づきすぎてしまうことで、相手選手がひとりで日本選手ふたりをケアできるようになり、かえって相手をラクにしている局面があったように思う。

初のW杯はノーゴールだった香川真司初のW杯はノーゴールだった香川真司 また、選手は「自分たちのサッカーをすれば勝てる」と言っていたが、それは、裏を返せば「自分たちのサッカーができなければ勝てない」ということでもある。やろうとしているサッカーがうまくできないとき、相手を崩してゴールを奪うほかの手段も持っておくべきだった。

 たとえばオランダは、スペインに対して、自分たちの従来の攻撃的なスタイルではなく、守備に人数をかけてカウンター主体で戦って勝利した。それはつまり、スペインをリスペクトしていたから、自らの戦い方を変えることを選んで、別の戦術を準備していたということだ。

 今回の日本は、対戦相手を過少評価していたのかもしれない。もちろん、相手をリスペクトしすぎることはよくないが、相手の力を正しく理解しなくてはいけない。相手の力を過大評価しても、過少評価してもいけない。今回のW杯で日本代表は、自分たちよりも力が上の相手に正攻法で戦いを挑み、はね返されてしまった。スペインと対戦したときのオランダのように、日本も相手が格上であることをもっと理解すべきだった。

 オランダやドイツなどの強豪国は、対戦相手の力やスタイルに応じて、さまざまな戦いができる。ポゼッションサッカーもできる、カウンターもできる。守備については、前からプレスをかけることも、自陣に引いて守備固めもできる。戦況に応じて、戦い方を変えていける。つまり、試合運びに幅がある。

 日本代表は今後、日本人の特性にかなった部分であるポゼッションや機動力は当然武器として強化しつつ、それだけではなく、W杯で結果を残すために、カウンターも一定以上のレベルにあり、守備もできるチームになる必要があるだろう。

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