日本の宝。鹿島の新エース・柴崎岳の「モダンスタイル」

  • 小室 功●文 text by Komuro Isao
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 世代交代が叫ばれて久しい鹿島アントラーズ。急いては事を仕損じるとばかりに、必要な分だけの時間をかけて若返りに着手してきた成果が、ここに来て実を結び始めている。

 そのうねりの中心にいるのが、MF柴崎岳、MF土居聖真、MF梅鉢貴秀、DF昌子源といった「1992年組」、俗に言う「プラチナ世代(※)」の面々である。

※2005年に開催された第1回世界幼少年サッカー大会で、世界の強豪国を次々に倒して優勝したU-13日本選抜を称えてつけられた呼称。同世代には多彩なタレントが多く、その後、2009年U-17W杯にも出場した。宇佐美貴史(ガンバ大阪)、宮市亮(アーセナル/イングランド)、小野裕二(スタンダール・リエージュ/ベルギー)らが同世代。

中心選手としての風格が出てきた鹿島の柴崎岳。中心選手としての風格が出てきた鹿島の柴崎岳。 なかでも、ずば抜けた存在感を示しているのが、柴崎だ。プロ4年目ながら、酸いも甘いも噛み分けた10年選手のような落ち着きと知性でチームをけん引。すでに鹿島にとっては、欠かせない選手となっている。

 試合後のコメントも、自身のパフォーマンスよりチーム全体を俯瞰(ふかん)した観点のものが多く、「本当に21歳?」と思わず突っ込みたくなるほど。例えば、シーズン序盤で首位を快走している際には、こんなことを話していた。

「ここまでチームは結果を出せているけれども、まだシーズンが始まったばかりで、(対戦相手が)鹿島のことを分析しきれていないから。そこがひとつあると思う。うちのよさを徹底的に消されたとき、自分たちの実力が問われるし、チームとしての課題も見えてくる」

 そして、こう続ける。

「鹿島は常に勝ち続けなければいけないチーム。今年だけよければいいわけじゃなく、来年、再来年と結果を出していかなければいけない」

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