ガンバやジュビロよりも厳しい!?名古屋は光明を見出せるか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by AFLO

 西野監督と言えば、かつてガンバ大阪をJ1王者に導き、AFCチャンピオンズリーグをも制した名将。名古屋の再建を託され、大きな期待とともに迎えられたが、現状では手腕を発揮する以前の問題を抱えている。

 指揮官が弱り顔になるのも無理はない。例えば、6試合ぶりの勝利に貢献したセンターバックの大武峻は、特別指定選手(高校や大学に籍を置いたままJリーグでもプレイできる制度)の大学生。確かに開幕戦からレギュラーを務めてきた逸材ではあるのだが、大学サッカーのシーズン開幕とともに、本来の所属先である福岡大学に戻った"パートタイム"の選手なのだ。

 ところが、本人が「とりあえず今日の試合は急遽来たという感じ。今後の試合はどうなるか分からない」と話していたように、名古屋のあまりの惨状にスクランブル出場。西野監督も「大武は一昨日、大学リーグのゲームをやって、足も万全ではなかったが、こういう大学生に頼っている状況だ」と認めるしかなかった。

 しかも、DFラインにおける負傷者続出は一例に過ぎず、他のポジションも状況に大差はない。第9節のサガン鳥栖戦では選手の頭数を揃えることさえままならず、規定の7人よりもひとり少ない6人の控え選手しかベンチに入れられないまま、試合に臨んでいる。状況はかなり深刻だ。

 幸いにして、久しぶりの勝ち点3を手にしたFC東京戦を見る限り、内容的にはそれほど悲観するものではない。4バック+3ボランチで組織的な守備網を張る相手に対し、左右に広くボールを散らしながら、勝負どころではテンポよくショートパスをつなぎ、ゴールに迫るシーンを何度となく作っていた。

 西野監督も「内容はまだまだ不足している部分がたくさんあるが、こういう状況を何とかしようとする選手の気迫は感じられたゲームだった」と振り返る。

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