川崎Fが「いいチーム」で終わらないための必須条件 (2ページ目)

  • photo by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

 逆に言えば、フロンターレにとっては、そこが課題。相手が下がって守備のブロックを固めたとき、どう崩すのか。後方でボールを回す時間帯が多かったけれども、相手を前に引き出すような、細かなくさびのパスなど、ボールを出し入れする回数をもっと増やしたほうがいいのではないだろうか。

 とはいえ、風間八宏監督が指揮を執り始めて3年目。チームは間違いなく成長している。第10節終了時点で9位という順位は物足りなく映るかもしれないが、序盤戦はアジアチャンピオンズリーグも同時にこなして、過密スケジュールの中で星を落としたことが影響しているだけ。勝ち点15は、首位の鹿島アントラーズ(勝ち点21)と6差と決して大きくない。この差を広げられないようにして勝ち星を重ねていけば、終盤戦で十分に捕らえられると思う。

 そのためにも、さらなるチームの進化は不可欠。風間監督は「誰が試合に出ても同じようなことができなければいけない。たとえミスをしても、それが意図のあるミスでなければいけない。そして、そのサッカーを続けていくことが大事」というような話をしていたけれども、個人的にもそれは同意見。

 今のサッカーを継続して、受け手の顔を出すタイミングとか、出し手のパスの質とか、ひとつひとつのプレイに関して、より質を上げて、研ぎ澄ましていくことが大切だと思う。そうやって、ひとつひとつのプレイのレベルを上げていくことで、ゴールシーンというか、ゴール前のシーンがどんどん増えて、今以上に「フロンターレのサッカーって楽しいな」というような状況になっていくのではないだろうか。

 また、パスサッカーと言っても、前にボールを出さなければ意味がないのだが、何より憲剛という前線に効果的なパスを配球できる質の高い選手がいるのは大きい。彼が出すボールには、ほとんど意味がある。「このパスでどうだろう」といった曖昧なものはなく、「このパスで頼むな」というメッセージが込められている。ボランチの位置でペアを組む大島僚太とのコンビネーションもいいし、憲剛がいる限り、まだまだチームはよくなっていくと思う。

 そうなると、かつて「シルバーコレクター」とも言われたフロンターレも、今年こそついにタイトル奪取か、という期待が膨らむ。その可能性はあるし、チャンピオンチームになれる力は十分に持ち合わせているはずだ。

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