J1の台風の目・神戸に「ブラジル人トリオ」がもたらした強さ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 ブラジル人トリオの活躍が目立つ神戸だが、その一方で自前の育成組織出身の選手が育ってきていることもまた、現在の神戸を表すひとつの特徴である。徳島戦でもDF岩波拓也、FW松村亮という19歳のふたりが先発出場していた。

 そんな伸び盛りの若手選手たちにとって、よきお手本となっているのがブラジル人トリオなのである。

「見よう見まねでやることによって、コンビネーションやボールを動かすテンポなど、(若手が)いい影響を受けているのは確か。ブラジル人3人の破壊力があって、彼らの力を借りながら若い選手も伸びている」

 神戸の安達亮監督はそう言って、まずは彼らの能力の高さを認めたうえで続ける。

「3人は本当にフォアザチーム。マルキーニョスのゴールにしても、彼の守備から始まっている。彼らはチームのためにやってくれているので、若い選手だけではなく、チーム全員にいい影響を及ぼしている」

 指揮官の言葉を裏づけるように、フォアザチームに徹するシンプリシオは、チームが好調な要因をこう語っている。

「監督がやろうとしていることを選手全員が勇気を持ってやっているから、それをピッチ上で表せているのだと思う」

 そして、殊勲の先制ゴールについては「ラッキーな部分もあったが、自分のゴールがヴィッセルの勝利につながってよかった」と控え目な言葉で振り返った。

 開幕から好調を持続する神戸は、同じJ2からの昇格組であるガンバ大阪(15位)や徳島(18位)の苦戦を尻目に、今季J1の台風の目となりつつある。

 それでも安達監督は「まだ(消化した)試合数も少ないし、勝ち点10前後の(中位の)チームとはそんなに離れていないので、3位でもピンと来ない」と、順位に頓着する様子はない。

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