16位のガンバ大阪、再びJ2落ちしないための具体策 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO SPORT

 優秀な外国人選手不在により、チームは宇佐美頼みへとさらに傾倒していった。今野泰幸は、「貴史がボールを持った時は、何かが起こる可能性を感じられた。だから、そこにボールが集まるし、ガンバの攻撃のポイントになっている」と語ったが、裏を返せば宇佐美さえ潰せばガンバの攻撃は怖くはないということだ。実際、キャンプ中のプレシーズンマッチで宇佐美は相手の標的になり、ついには練習中にケガをして戦線離脱してしまった。

 この時点でFWは佐藤晃大と新外国人で未知数のリンスのみ。長谷川監督が攻撃よりも失点しないように守備に比重をかけて最終調整していったのも無理からぬことだった。

 実際、開幕から3試合で失点1と守備は好調だった。だが、攻撃は迫力を欠いた。

 ガンバといえばポゼッションだが、かつてはそのエリアが非常に高い位置にあった。ポゼッションするエリアが高ければ自分たちのペースで決定的なチャンスを作れるし、ミスをしても素早く取り返せば、それをチャンスに転化できる。そうしてガンバは分厚い攻撃を仕掛けて、相手を疲弊させ、後半、さらに加点していった。

 その頃に比べると、今はポゼッションするエリアが低く、ただ横に回しているだけ。前線には効果的な動きをしたり、ポストをしっかりできる選手が不在だ。相手にプレッシャーをかけられず、逆にパスの出しどころに困り、自分たちがストレスを抱えている。 

 それを象徴するようなシーンがある。鹿島戦、遠藤は前の選手に何度も動きについて指示を出していたが、前線が思うように動いておらず、FKの際、小笠原満男を後ろから押すなどイライラする姿を見せた。滅多に感情を露(あらわ)にしない遠藤だけに珍しいシーンだった。その遠藤のイライラが示すように後半はシュートわずか1本。負けるべくして負けた試合だったのである。

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