私なら、豊田陽平をザックジャパンの「ジョーカー」に選ぶ (3ページ目)

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 唯一、国際経験の少なさが課題ではあるけれども、今の代表で主力を務める選手たちと比べても、その実力は遜色ない。攻撃の核である本田圭佑と、高校の先輩、後輩という間柄なのもいい。「そんなことは関係ない」という人もいるが、何も知らないより、気心が知れているに越したことはない。それに、日本に足りない“高さ”を持っていることを考えても、豊田という存在は貴重だ。

 FC東京戦でも、0-2で負けていた鳥栖は、終盤、前線の豊田に速いタイミングでロングボールを入れて、チャンスを生み出していた。その際、ゴール前では両チームの選手がごちゃごちゃっと入り乱れることが多く、そこでは意外にビッグチャンスが生まれる場合がある。今の代表は、相手にリードを許した状態でも、最後までショートパスで敵をいなすのが特徴だが、鳥栖のように試合終盤には速めにロングボールを入れるパターンを作ってもいい。そこで欠かせないのが、敵陣での競り合いに強い豊田だ。

 確かに、柿谷や大迫をはじめ、オランダで結果を出しているハーフナー・マイクなど、ライバルはたくさんいる。ザッケローニ監督がFWに求める要素として、どこを優先するかによって、豊田はメンバー入りするか、しないか、という立場にあるとは思う。しかし、こうして豊田のことを見てみると、彼にはネガティブ要素より、アドバンテージのほうが明らかに多い。メンバー入りすれば、W杯でも大いに活躍してくれるだろう。

 そのためにも、大事なことは、Jリーグでも結果を出し続けること。W杯メンバー発表(5月12日)までの残り7試合で5点、第13節終了時点でゴール数をふた桁に乗せて、吉報を待ってほしい。

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