苦境の香川真司は、マンUで何をすべきか?

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ただ、点を取りたいからといって、香川がエゴイスティックに強引にプレーすると香川らしさが出てこない。香川はルーニーやファン・ペルシーのように自分でグイグイ行く選手ではなく、周囲の味方とうまく連動することでより輝くタイプだからだ。

 また、今季のマンUは、運動量が少ない。なぜなら選手が動かないで足下でパスを受けて、ボールが動かないから人も動かなくなっているからだ。先日のチャンピオンズリーグで、マンUとドルトムントのチーム全体の走行距離は約10キロ違った。つまり選手1人あたり1kmも違う。これは大きな問題だと私は思う。

 そういう状態のマンUにあって、香川は運動量が豊富で、ボールを引き出す動きを積極的にするため、ボールも人も自然と動くはずなので、香川が入るメリットは間違いなくあると思う。

 マンUというクラブの状況を選手ひとりの力で変えることは非常に難しい。また、監督の考え方を変えることも基本的には難しい。たとえば、チェルシーのモウリーニョ監督は今季、マタの調子が良かったにもかかわらず、マタを冷遇していた。モウリーニョ監督はマタに対して比較的ポジティブな発言をしていたが、結局はマンUに放出した。つまり、マタはモウリーニョ監督の好みではなかった。性格的な部分ではなく、プレースタイルが監督のサッカー観に合っていなかった。モイーズ監督と香川についても、これと同じようなことが言えると思う。それは選手が悪いわけではないし監督が悪いわけでもない。ただ合わないだけだ。

 また、ファーガソン監督だからこそ香川を使いこなせていたという部分も当然あると思う。モイーズ監督は就任1年目で、まず自分のやり方を貫くことを優先しているように見える。モイーズ監督は、自らの考えに合った選手を起用する。香川は、今はその構想に入っていないのだと思う。

 そういう選手はどういう気持ちになるかというと、監督から信頼されてないのが分かるから、モチベーションが上がらない。どう評価されているか分からないし、ピッチの中で落ち着いてプレーできない。それをずっと繰り返している。

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