2014.03.21

ブレイクの予感。今季Jで注目すべき3人の「仕事人」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹、藤田真郷●撮影 photo by Sano Miki,Fujita Masato

 その筆頭格と言えるのが、サンフレッチェ広島のDF塩谷司(25歳)である。

DFながら高い得点能力を誇る広島の塩谷司。 塩谷のポジションは3-4-2-1の「3」の右。最後尾のDFである。にもかかわらず、開幕戦から2試合連続ゴールを決めたばかりか、AFCチャンピオンズリーグのFCソウル戦でも決勝ゴールを決めるなど、まさに今、乗りに乗っている選手なのだ。

 しかも、それらのゴールが実に多彩。イブラヒモヴィッチばりの豪快なFKを直接叩き込んだかと思えば、メッシばりに柔らかくGKをかわす技ありシュートまで決めてしまうのだから恐れ入る。

 DFというポジションにありながら、塩谷がサンフレッチェで攻撃の中心的役割を担っているのは間違いない。右アウトサイドのミキッチがタッチライン際に開いて相手のDF網を広げると、その内に生まれたスペースを突いてスルスルと塩谷が上がっていくのは、もはやサンフレッチェの得意パターンである。そして、第2節のフロンターレ戦で見せたFKのように、右足から放たれる弾丸シュートはまさに脅威。FKだけでなく、流れの中からでも強烈なミドルシュートを打ってくる。

 もちろん、"本職"のほうでもぬかりはない。攻め上がりが多く、時にカウンターから背後を突かれることもあるが、スピードに優れる塩谷は素早く帰陣し、高いディフェンス能力で相手からボールを奪い取る。1対1の守備にも優れており、ただ攻撃能力が高いだけの危なっかしいDFではないのだ。

 2012年シーズンの途中、J2水戸ホーリーホックからサンフレッチェへ移籍した塩谷は、当初は控えが中心だったが、シーズン終盤には徐々に出場機会を増やし、12月にはFIFAクラブW杯にも出場。当時は「今年の初めは、(シーズンが終わるころに)こんなことになっているとは思いもしなかった」と話していたが、昨季、DF森脇良太の浦和レッズ移籍によりレギュラーの座をつかむと、Jリーグアウォーズでは優秀選手にも選ばれた。

 2年前の今ごろはJ2の、しかもJ1昇格とは縁のないクラブでプレイしていた選手が、J1を代表するDFへと成長した。塩谷は今まさに、サクセスストーリーの階段を一気に駆け上がっている真っ最中だ。