2014.02.28

川崎フロンターレに芽生えた、絶妙な「先輩・後輩の関係」

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 過去3度のACLを経験している中村は、少しの隙が命取りになるアジアの戦いの怖さ、難しさを知っている。ACLに出場するのは4年ぶりのため、未経験の若手も多く、勝つことが、何よりも大事だった。再び、中村が言う。

「最初の公式戦ということを差し引いても、そんなに悪くなかったんじゃないかと思います。セレッソと広島の試合(ACL)を見て、何よりも結果が大事だと思っていたから。アジアでの戦いはやっぱり独特ですし、初戦で勝ち点3を取れてホッとしています」

 ほかの選手たちも概(おおむね)似たような感想を抱いているようだった。ひとりの選手を除いては――。

 不満を露(あら)わにしたのは、大久保嘉人だった。昨シーズンも「良いものは良い」「悪いものは悪い」とはっきり口にしてきた彼は、この日、厳しい言葉を並べた。

「向こうのディフェンスラインはバラバラで、そこを突けばいいのに、近くにパスを出してっていうのが多かった。ホームでこの相手から1点しか取れないのは本当にダメ。フロンターレらしくない。足もとに出すパスの精度、そこが良くなかったと思いますね」

 なかでもボランチの消極的な姿勢には、ストレスを感じていたようだ。

「(大島)僚太にはいつも言ってますけど、もっと前に縦パスを入れないと崩せない。今日はそれがすごく少なかったと思います。裏も見えてないですし。前線にボールを当てられなかったのは、前とボランチの距離が遠かったから。後ろに引っ張られないで、もっと前に出てこないと」

 この日の大島僚太のプレーはそこまで悪いようには感じなかった。味方DFの視野にしっかり入ってボールを引き出し、攻撃をビルドアップ。パウリーニョや中村のみならず、サイドの選手へのサポートも欠かさず、ミスパスもほとんどなかった。

 ただし、大久保が指摘したように、確かに攻撃のスイッチを入れる縦パスが少なく、無難なプレーに終始していたという見方ができなくもない。21歳のボランチは言う。