困難な長期政権からの変革。ベガルタは「ジンクス」を破れるか

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 はたして新監督就任により、仙台のスタイルにどんな変化が起きるのか。そこが、今季の仙台を占ううえでのポイントとなるのだが、宮崎キャンプで行なわれた練習試合を見る限り、大きな変化はなさそうだ。前監督が築いた仙台らしさは、しっかりと残されていた。

 2月19日に宮崎で行なわれた、セレッソ大阪との練習試合。結果から言えば、仙台は1-4で敗れた。キャンプテンを務めたMF角田誠は「あまり得るものはなかった」と切り出し、こう語る。

「セレッソに(自分たちの)足が止まるのがわかっていたような戦い方をされた。前半から動かされていたので、最後に足が止まるのは必然。プレシーズンだからとは言っていられない。これだけの差があることに、かなり危機感がある」

 1-2と競りながらも残り5分で2点を叩きこまれた試合展開に、角田の口からは厳しい言葉ばかりが飛び出した。

 しかし、外から試合を見ている印象としてはスコアほど悪い内容ではなかった。互いにコンパクトなフィールドで攻守を展開する、ハイレベルなゲームとなっていた。

 DF鎌田次郎は「初めての90分間の試合で、しかもJ1相手。きつくて最後に失点を重ねたが、前半からのやり方次第でもっと(終盤の戦いを)楽にできる」と振り返る。

 確かに前半からボールを奪いに行ったところをセレッソのパスワークにかわされ、体力を消耗した結果、試合終盤に足が止まって失点を重ねはした。それでも、残り15分まではPKによる1失点のみに抑えており、一時は鋭いカウンターからFWウイルソンのゴールで同点に追いつくなど、チャンスの数も決して少なくなかった。

 ピッチ上で見られたのは、けれんみのないハツラツとした、実に仙台らしい戦いぶりだった。新任のアーノルド監督は語る。

「ベガルタはファイティングスピリットがあり、非常に意識の高いチームだ。それこそがマコト(手倉森前監督)の積み上げてきたものであり、私はそれを崩すつもりはまったくない。(監督交代という)大きな変化があったのは確かだし、何かが変わると、ときに選手のなかには不安が起きるものだ。しかし、今のところはうまく進められている」

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