2014.02.10

鹿島の最重要課題。大迫勇也の穴はどうやって埋めるのか?

  • 田中滋●取材・文 text by Tanaka Shigeru photo by Getty Images

 また、トニーニョ・セレーゾがオーダーする選手と交渉の席についても、相手が求める金額を検討すると、5億円ほどの出費となってしまう。クラブが用意している強化費では、それをまかなうことは難しかった。

 かつての鹿島は、高卒の選手を3年かけて育て上げ、7年から10年の間、戦力として活用する手法をとってきた。それによって充実した戦力と、熟成された戦術を武器に、鹿島は数々のタイトルを獲得してきたのである。

 しかし今、その手法は通用しなくなっている。若くて有望な選手であればあるほど早く海外へと渡り、鹿島で活躍する期間は短くなった。さらに大きなダメージとなったのが、2番手、3番手の選手を抱えられないチーム事情だ。かつての鹿島のFW陣なら、大迫が移籍しても、興梠慎三や田代有三という働き盛りの選手がいれば、そこまで大きな穴にはならなかっただろう。しかし、彼らは出場機会を求めて他のクラブへ移籍(興梠は浦和レッズ、田代はヴィッセル神戸に移籍)。これまでのようなチームの作り方では、戦力を維持することができなくなっているのである。

 そのため鹿島は、今季から広島などが採用しているスカウティングシステムを導入した。J2やJ3、JFLといった下のカテゴリーを常時視察する専門スタッフを置くことで、広島がDF塩谷司を見出したように(2012年途中に水戸から広島へ完全移籍)、限られた資金でも適材適所の補強が可能になるような体制作りを進めていくという。とはいえ、これから手がける新たな試みであるため、今季序盤の戦力に、そのスカウティングは反映できない。新シーズンは、今、在籍している選手たちで戦うしかない。

 鹿島の選手たちは大迫の抜けた穴について、こう語っている。

「いなくなった選手のことを、気にしても仕方ない。年下の選手やダヴィがやってくれると思う」

 大迫とともに攻撃を牽引するMF遠藤康は、「いないならなんとかする」と言って胸を張った。

 一方、ダヴィについて言及したのは、鹿島の中盤を仕切る柴崎岳だ。

 「去年は大迫とダヴィのツートップでしたが、どちらかというと、僕らはダヴィの特長を活かせなかった」

 ダヴィはテクニックのある選手ではないものの、自らの得点の形を持った選手。その良さを引き出せなかったことについては、パスを出す側にも反省の念が残っているようだった。