鳥栖・豊田陽平が鬼気迫るハードトレーニング (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 豊田が「変な疲れ方」と表現する以上、現状は決して心地いいものではないのかもしれない。「それをどう感じるのかは、SかMかによると思うけど(笑)」と、豊田は冗談めかして笑うが、彼自身は「強くなるために、ということを言い聞かせているところはある」と続ける。

「そこは自分自身との戦い。自分に負けちゃいけないというマインド次第だと思う」

 強くなるために――。豊田は確固たる決意で、来る新たなシーズンの開幕へと準備を進めているのである。

 ハードトレーニングをこなし、自分自身、強くなっている実感はあるのか。

 そんな問いを豊田に投げかけると、返ってきた答えは決して奢ったものではなく、それでいて確かな自信を感じさせるものだった。

「自分で(自分自身が)強くなっているって言うのはおこがましい。とにかく昨季以上の結果を出すことが大事なので、そのためにどこで何を節制して、キツいけれども、どれだけトレーニングを頑張れるか。そういうことだと思う」

 一昨季、鳥栖はJ1初昇格にして5位に躍進。しかし、昨季の鳥栖は一転して12位に後退。豊田個人の成績は、一昨季の19ゴールから昨季は20ゴールへ微増したとはいえ、エースストライカーとしての重責を担う背番号11が、「昨季以上の結果」を強く求めるのはごく自然なことだろう。

 千葉との練習試合でも強さばかりではない、巧みなポストプレイを度々披露。前線でターゲットとなり、周囲の選手を生かすプレイが目についた。それはFWとして十分に役割を果たしたと言えるものに見えた。

 ところが、豊田は「ある意味、そこが反省」と意外な反応を示すと、こう言い切った。

「相手にとって脅威にはなれなかったかなというところはある。もっと貪欲にゴールを目指せるような選手にならないと」

 FWとして、そして点取り屋として、豊田があらゆる意味でパワーアップできたとき、その先にあるのは鳥栖の躍進であり、自身の得点王であることは間違いない。

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