今年こそレッズが変わる。早くも表れた「GK西川・効果」 (2ページ目)

  • 神谷正明●文 text by Kamiya Masaaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「大ちゃん(那須大亮)、もうちょっと右!」
「(濱田)水輝! スライド!」
「モリ(森脇良太)、もっと絞れ!」

 群馬が引いて守りを固めていたため、浦和はポゼッションで優位に立っていた。自陣に攻め込まれることがほとんどないので、自然と前がかりになる。昨季はそういう展開になると、攻撃志向の強い選手たちが多いこともあって、守備への意識が緩慢になることが珍しくなかった。それで、何度も痛い目にあってきた。

 攻撃しているときこそリスクマネジメントを怠らない。頭では誰もがわかっていても、昨季は自分たちのリズムで戦っているときについつい気が緩んでしまうことがあった。

 しかし、この日の西川からはそういった甘い態度は見られなかった。相手が昨季J2の下位チーム(20位)であろうと、あまり脅威を感じるような攻撃を受けていなかろうと、常に気を張り巡らせ、声がけひとつで守備の穴を塞いでいた。

「攻めているときのバランスを考え、常に声を出していこうかなと思っていた。攻めているときにどれだけリスクマネジメントができるかということは、僕のところにボールが来なくてもできることなので」

 西川は事も無げにそう振り返ったが、チームメートはその気の利いた対応に感銘を受けている。

 DF濱田が「危ないスペースがあっても、相手が走り出してからではなくて、早いタイミングで指示を出してくれてよかった。今日は後ろから周作くんが声をかけてくれたのでやりやすかった」と話せば、DF那須も「(西川は)すごく安心感を与えてくれる。個人的にもチーム的にもすごく助かった」と賛辞を惜しまない。

 実際、西川が出ていなかった1本目の試合では、人数が十分足りているのに1発の単純なロングパスをゴール前まで通されたシーンが数回あったが、2本目ではそういったことはなかった。群馬にシュートを打たれる機会は限られていたので、西川が自慢のセービング能力を発揮するような場面はなかったものの、堂々と味方に指示を出すその姿からは、「期待の守護神」としての風格が確かに漂っていた。

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