宇佐美貴史「大迫くんや柿谷くんより下だと思っていない」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

「ロチャと(2トップで)プレイしているときは、自分がちょっと引き過ぎかな、というのがあった。ボールに触りたかったんでね。でも、ヤットさん(遠藤)がFWに入って、それまでのオレの役割というか、ヤットさんが効果的に低いポジションをとってプレイしてくれた。そこで、自分も下がってしまうと前には誰もいなくなってしまうから、前にいるように心掛けた。『おまえは、前にいる選手やねん』という監督のメッセージを感じたしね。そうすると、すごくプレイしやすかった。ゴールの近いところでボールを受けられるんで、フィニッシュに専念できるというのが大きかった」

 宇佐美は、前に"残る"という重要性を改めて感じたという。

「サイドだと、守備になると走って戻って、ボールを奪って攻撃になると前に上がっていって、なんやかんやスプリントしたり、ステップしたりしていて、ボールを受けてから『さぁ、行くぞ!』って感じになるじゃないですか。それだと(プレイの)ギアが簡単に上がらないし、疲れてくると冷静な判断ができなくなるんです。でも前にいれば、力を消耗することなく、ゴールを奪うために、ためていたパワーを(シュートを打つときに)グッと出せるんですよ。それに、ボールの受け方、持ち方がサイドとは変わってくるんで、相手の守備や味方の動きがよく見えて、(状況に合わせて)いろいろなプレイを選択できる。そうすると、プレイにも余裕が出てくるし、相手をいなすというか、相手をおちょくるような感覚でサッカーができるんで、すごく楽しいんです」

 だが、宇佐美の言うサッカーは、J2だからできた、ということも言えるかもしれない。はたして、J1の舞台でも相手をあしらったり、おちょくったりするようなサッカーができるのだろうか。

「そりゃ、するでしょ。もともといたところ(J1)に戻るだけなんで。ガンバが"J1に上がってきたチーム"と見られるのは、しゃくにさわる。絶対に自分らは(J1でも)通用するし、通用したうえで、どこまでやれるか、ということを目標に置いている。個人的には、昨季のように1試合1点ペースが理想やけど、さすがにそこまでうまくはいかないと思っている。スアレス(ウルグアイ代表FW/リバプール)なんか、プレミアリーグで19試合23得点(2月3日現在)という数字を出しているけど、現実は簡単なことじゃない。1試合1点とまでは言えないけど、最低シーズンふた桁得点は記録したい」

 宇佐美には、自らゴールを挙げてチームをJ1優勝に導くことと同様、もうひとつ大きな目標がある。ブラジルW杯出場である。

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