小笠原満男が被災地で語る「サッカーと復興」 (4ページ目)

  • 佐野美樹●文 text&photo by Sano Miki

――『東北人魂』の活動も大切ですが、小笠原選手をはじめ、みなさんの本業はプロのサッカー選手。そこでの活躍も不可欠だと思います。

「まずは、そこですよね。選手ですからね。それぞれの選手が、各チームで活躍することがいちばんだと思っています。例えば、昨年は福島県出身で『東北人魂』のメンバーである、高萩洋次郎の所属するサンフレッチェ広島がリーグ優勝して、彼自身、東アジアカップ(7月)で日本代表に選ばれた。そうした洋次郎の活躍を見て、彼の地元のファンの人たちは、かなり喜んでくれたと思うんですよ。また、競技は違いますけど、プロ野球では楽天が優勝して、東北全体がすごく盛り上がったじゃないですか。だからこそ、自分たちもまずは所属チームでがんばって、活躍しなければいけない。それが、大前提。アントラーズも東北出身の選手が多いですから、がんばらないといけないですね。それぞれの地元の人たちに、喜んでもらいたいですから。そうやって喜んでもらったり、盛り上がってもらったりする話題を、プロのサッカー選手である自分たちはたくさん作っていかなければいけないと思っています」

――最後に、アントラーズの選手として、今季にかける思いを聞かせてください。

「今季から、岩手県出身で『東北人魂』メンバーの山本脩斗(ジュビロ磐田→アントラーズ)が加入します。ますます東北の選手が多くなるので、一層がんばらないといけないですね。目標というか、アントラーズが目指すのは優勝しかないですから。2位でも、3位でもダメですから、常に頂点を目指してやるだけです。そうやって目指すべきこと、やるべきことがはっきりしているので、やりがいはすごくありますよ。だから、しっかりサッカーをがんばっていきますが……、自分はサッカーだけをやっていればいいっていうのは違うな、と思っているんです。その思いっていうのは、うまく説明できないけど、とにかくあの大地震で自分の地元は大変なことになりましたから。その地元のために、(自分が)何かできることを見つけて、これからもやっていきたいと思っています」

 今季で、プロ生活も17年目に突入する小笠原。アントラーズの主将として優勝に向けて全力を尽くすとともに、被災地の復興に向けて、自らができることにまい進していくという。彼の“戦い”はまだまだ続く。

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