「相性のよさ」を発揮。中村俊輔が予見していた横浜FMの天皇杯制覇 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Fujita Masato,Taguchi Yukihito

 それを考えれば、横浜FMの天皇杯制覇は2013年12月22日の準々決勝が終わり、ベスト4が出揃った時点で、すでに当確だったのかもしれない。準決勝に残った広島、FC東京、鳥栖に対して、横浜FMは今季全勝。中村が言っていた「相性」という点で、横浜FMの優位は明らかだった。

賜杯を掲げる中村俊輔。横浜F・マリノスの天皇杯優勝は前身の日産自動車時代から21年ぶりだった賜杯を掲げる中村俊輔。横浜F・マリノスの天皇杯優勝は前身の日産自動車時代から21年ぶりだった つまり、J1王者を決勝で下しての劇的な天皇杯制覇は、「勝つべくして勝った結果」と言えるし、「“天敵”との対戦を避けられたからこその結果」とも言える。

 リーグ戦では2位、ナビスコカップではベスト4と、すべてのタイトルで常に上位を争った今季の横浜FMには、最後に歓喜を味わう資格があった。横浜FMの天皇杯優勝は、今季を締めくくるに相応しい。

 とはいえ、今季のJ1で完全に抜けた強さを持っていたかと言えば、残念ながらそうではない。

 各クラブの力が拮抗し、どこが優勝してもおかしくない近年のJ1。横浜FMは、そんな混戦リーグを抜け出す存在になれるのかどうか。中村は言う。

「リーグ優勝できなかったのは事実。終わりよければすべてよし、ではない。足元を見て来季を考えなければいけない」

 結論は来季以降に持ち越しである。

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