「相性のよさ」を発揮。中村俊輔が予見していた横浜FMの天皇杯制覇

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Fujita Masato,Taguchi Yukihito

 横浜F・マリノス(横浜FM)が93年元日に決勝が行なわれた第72回大会以来、21年ぶりとなる天皇杯優勝を果たした。

 クラブの前身である日産自動車時代にはこの大会を得意とし、第63回から第72回までの10大会のうち、2度の2連覇を含む6度の優勝を果たしていた横浜FMだが、93年のJリーグ誕生後では初となる、久しぶりの天皇杯獲得となった。

クラブとして2004年のリーグ優勝以来となるタイトルを手にした横浜F・マリノスクラブとして2004年のリーグ優勝以来となるタイトルを手にした横浜F・マリノス しかし、そんな過去の歴史は別にして、横浜FMにしてみれば、今季の借りをここで返しておきたい気持ちは強かったはずだ。横浜FMにとって天皇杯決勝の対戦相手、広島というのは、今季J1で最後の最後に優勝をさらわれた敵だったからである。

「決勝では広島とやりたい」

 MF中町公祐は準決勝で鳥栖を下した後、そう公言していた。広島を叩いて優勝したい。その思いは中町に限ったものではなかったはずだ。

 そして"リベンジ"の舞台は用意された。

「優勝がかかったリーグ戦の残り2試合はかなりストレスがあったが、今日は決勝とはいえチーム全体がリラックスして試合に臨めた。もちろん(広島が相手で)高ぶるところはあったが、(それが重圧になることはなく)ポジティブな要素しかなかった」

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