検証。Jリーグ20年を経て生まれた3つのトレンドとは? (3ページ目)

  • photo by Getty Images


2■強豪不在。名門クラブが2年連続で降格

 圧倒的な力のあるチームが存在せず混戦になることで、現在は強豪クラブ不在という状況になっている。それは、2012年のガンバ大阪に続いて、2013年はジュビロ磐田と、一時代を築いたクラブが2年続けてJ2落ちしたことにもよく表れている。

 Jリーグの20年を振り返ると、いわゆる名門、強豪と呼ばれるクラブは、ある程度移り変わりがある。一貫して上位に顔を出し続けているクラブは、鹿島ぐらいだ。その鹿島も、今のアジアで強豪として存在感を示しているかというと、そうではない。

 20年間ずっと上位にいるクラブが少ないことの要因の一つには、Jリーグがスタートしてから今まで、放映権料などの分配に大きな差がない方式になっていることが挙げられる。そのため、予算に大きな差がなく、どのチームも優勝を狙えるリーグになっている。

 今の状況では、回収できる見込みが少ないから、大規模な投資をするチームはなかなか出てこない。どこのクラブも思い切ったことはできないため、戦力差が生まれないという部分もあるだろう。

 もちろん、現在のJリーグは、どのチームも優勝が目指せるリーグならではの面白さがある。ただ、国内で競争しているうちはそれでいいかもしれないが、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)のタイトルを目指せるかというと、現在、Jクラブにはそこまでの力がない。ここ数年、Jリーグ勢はベスト8止まりで、善戦してもベスト4まで。このままでは、アジアでチャレンジャーという立場になってしまいかねない。

 もう一歩踏み出して、アジアの頂点を目指すクラブが今後出てくるかどうか。そのためには、まず予算規模の拡大が重要になってくる。投資をしてアジア王者を目指す覚悟ができるかどうか。相当なエネルギーを持ってやらなければいけないが、そうやってJリーグを引っ張っていき、アジア王者を目指すクラブが出てきてほしい。

 お金を使って強化したアジアのクラブの代表例としては、2013年にアジアチャンピオンになった中国の広州恒大がある。リッピ監督の年俸は10億円以上とも言われており、ものすごいお金をかけているクラブがアジアに存在する以上、そこに勝つためには、資金面での競争は避けられないだろう。同じようなやり方で強くするか、あるいは日本的な別の強化の方策を練って知恵を絞るのかを考えていかなくてはいけない。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る