検証。Jリーグ20年を経て生まれた3つのトレンドとは? (2ページ目)

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 その広島の勝ち点は63。ただ、もう少し上位の勝ち点が大きく伸びていたら、展開は違っていたかもしれない。混戦だから優勝クラブの勝ち点が低いという見方もあるが、今シーズン最後の2、3試合は、上位が負けることで混戦に拍車がかかっていったので、混戦の内容、中身というところでは、もう少し上位チームが頑張ってほしかった。たとえば、残り5試合で6チームに優勝の可能性があって、そこから1チームずつ脱落していくときに、上位クラブが勝ち続けて優勝するという展開を見てみたい。

 毎年混戦になる要因のひとつには、J1各クラブの戦力差がそれほど大きくないということが挙げられるだろう。これは、ザッケローニ監督が言っていたことだが、現在のJリーグは、優勝した広島も含めて「プロビンチャ」(イタリアの地方の中堅クラブ)がたくさんあるリーグという印象だ。言い方を変えると、強いチーム、受けて立つような横綱がいないということでもある。

 ほとんどのクラブは、お金がない分、何か策を講じてやりくりしていく。それで勝ち点を取っていくが、そういうクラブとはやり方の異なるメガクラブ、ビッグクラブがあってもいいはずだ。Jリーグは、ビッグクラブがないまま、プロビンチャ的なクラブが増える傾向が年々強くなっているように思う。

 それは、ジェフ時代のオシム監督の影響が強いのかもしれない。莫大な予算がなくても、やり方次第で上位に食い込めることを彼は示した。そのため、ほとんどのクラブが、投資して大きなリスクを負うよりは、そういう予算をかけないで上位を目指す「堅実なやり方」になっている。結果、Jリーグ全体を見た時に、同じような規模のチームが増えていき、戦力も均衡化して、混戦になっている。

 そうなってくるとどういうことが起きるかというと、戦力で大きな差をつけられないので、チームの戦術や監督のマネジメント力で差がつくことになる。そういう点でうまくやったチームが多くの勝ち点をとって、結果を残す傾向がある。

 つまり、Jのクラブは、欧州のレアル・マドリードや、マンチェスター・シティのように、お金をかけてチームを強くするというやり方を、どこも採用していないといえる。

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