広島、連覇達成。快挙の裏にあった指揮官と選手の「絆」 (3ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 佐藤も指揮官の求心力を連覇の要因にあげた。

「森保監督が常に、目の前の試合、目の前の試合、といった感じで目標設定をしてくれた。それによって、(自分たちに)のし掛かってくるモノを軽減してくれた。昨季優勝という結果を出して、周囲は新たなことに取り組むことを期待した。でも、新しいことに取り組むことで、それまでできていたことが消えてしまうケースもある。一方で、継続していくことはすごく難しいことだけど、その方向性を監督がきちんと示してくれた。そして、継続性が極めて大事だということを教えてくれた。それが、連覇を達成できた要因だと思う」

 選手たちがどんなときも“サンフレッチェ広島のサッカー”をピッチで表現できた裏には、順調に歩みを進めているときも、躓(つまず)きそうになったときも、常にブレることなく、直近にある“未来”を見据えて、選手を信じ続けてきた指揮官の姿があった。ゆえに、広島は第32節でセレッソ大阪に敗れ(0-1)、優勝の火が消えかかったときも、選手たちが目標を見失うことはなかった。それが、残り2節での2連勝につながった。

 鹿島戦の前日、森保監督はミーティングで選手たちにこう話したという。

「みんなががんばっていることはわかっている。だからこれ以上、『がんばれ』とは言わない。明日の試合は、自分たちのやるべきことをやって楽しもう」

 それを聞いた選手たちが、がんばらないわけがなかった。

 まさに森保監督のブレない姿勢こそが、選手各々の意識を高め、チームの成長を促した。リーグ最少失点の堅い守備を築き上げ、多彩なパスワークからゴールを奪うコンビネーションを構築することができたのも、そのおかげだ。

 選手たちを最も近くで見守り、信じ続けてきた指揮官。森保監督の手腕なくして、広島のリーグ連覇は語れない。

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