広島、連覇達成。快挙の裏にあった指揮官と選手の「絆」 (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 チーム最古参のMF森﨑和幸は、ただの優勝ではなく連覇についてこう評価した。

「昨季優勝したことで、今季はいろいろなチームが、僕らへのマークを強め、対策を練ってきた。その中で優勝できた。史上4チーム目という連覇は自信になる。昨季の優勝もうれしかったけど、それ以上の価値がある」

 指揮官の森保一監督は、偉業を達成した選手たちを心の底から称えた。

「選手たちは、シーズンを通してよくやってくれた。ずっと重圧のかかる試合を続けてきましたが、その中でも我々のサッカーを貫いてくれた」

 今季の広島は、昨季のJ1初優勝に貢献したDFの森脇良太が浦和レッズに移籍。それに対して主力クラスの補強はなく、言わば戦力ダウンした中で開幕を迎えた。

 さらに、シーズン序盤はAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)とJリーグを平行して戦うハードスケジュール。2005年に、クラブW杯出場権が与えられるACLに対する重みが増してからは、過去にガンバ大阪、浦和レッズ、名古屋グランパスなど、資金力のあるビッグクラブでさえ、その過密日程に泣かされ、リーグ連覇を逃してきた。広島も同様に、連戦を戦う中でケガ人が続出し、苦しい状況での試合が続いた。

 そうした影響もあってか、夏場には、森保監督が指揮してから初めての3連敗を喫し、勝利から5試合も見離される窮地にも立たされた。しかし、広島はブレなかった。対戦相手が徹底して"広島対策"を講じてくる中、広島はいついかなるときも、どんな相手でも、自分たちのサッカーを貫いた。そしてそれが、最後に実を結んだ。

 大きかったのは、森保監督の力だ。森﨑和は言う。

「今年は昨年以上に苦しい時期もあったけど、森保さんの、選手に対する接し方や振る舞いが変わらなかった。何より選手を常に信じてくれる。だから僕らも、森保さんを信じて迷うことなくプレイできた。監督と選手の間に、強い信頼関係があった」

 水本も森﨑和の言葉に同調する。

「森保さんからは、勝っても負けてもブレない、やるべきことをやる、という姿勢を常に感じた。それが、次第にチームに浸透してきたことが大きい」

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