レッズ、ガンバサポからジュビロサポに送る「J2の心得」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 職場でレッズサポーターを公言していた後藤さん(男性・59歳)は、肩身の狭い思いをさせられたと振り返る。

「同僚たちがJ1の話題で盛り上がっているとき、『浦和はJ2だからな』って蚊帳(かや)の外に置かれました。会話に入っていけなくて、寂しかったですね。『J2に染まらないように、1年で上がってくれ』って、必死に祈っていました」

 そんなレッズサポーターの願いが届いてか、レッズは最終節で何とかJ1復帰を決めた。1年でトップリーグに返り咲いて以降、2006年にJ1優勝を果たすなど、強豪の地位を確立していった。前述の相川さんが言う。

「J2の厳しい戦いを続けながら、最後はクラブも選手もサポーターも、みんなが結束して一枚岩になれた。そしてJ1復帰後は、J2の経験を糧にして、これからはチームとしてブレずにやっていこうという意識も高まった。結果、黄金期を迎えることができました。その点では、J2を経験してよかったのかもしれない」

 レッズとともに、Jリーグ創設時からのメンバーであるガンバ大阪は昨年、初めてJ2に降格した。チームを10年間率いた西野朗監督が前年限りで去ると、新体制への移行がうまくいかず、17位と低迷したのだ。

 ガンバサポーターの前田さん(仮名/男性・28歳)がJ2の"過酷さ"を知ったのは、まだ2013年シーズンが始まる前、降格決定直後だった。

「『ヤット(遠藤保仁)やコンちゃん(今野泰幸)がいなくなったら?』と考えて、ゾッとしました。メディアで『レッズ、●●選手に興味』『グランパス、●●選手獲りへ』というニュースを見る度に、不安な気分になりましたよ。主力がすぐに残留を表明してくれて、ホッとしましたけど......」

 迎えた今季のJ2では、開幕12戦無敗とシーズン序盤から好位置につけ、第39節終了後にJ1復帰を決めた。だが、その道のりは決して平坦でなかったと、新井さん(男性・38歳)は振り返る。とりわけ、"J2の洗礼"を受けたのが、アウェーでの戦いだった。

「相手のテンションがすごくて、常に(格下のチームが必死で向かっている)天皇杯の2、3回戦を戦っている感じ。それを打ち破るしんどさがありますね。普段の試合より相手の当たりが激しくなるし、サポーターの声量もすごい。鳥取、岐阜、千葉、栃木に行きましたが、特に岡山がすごかった」

 今季のJ2最終節が行なわれた11月24日、ザスパクサツ群馬戦もそうだった。ガンバを迎えた群馬の正田醤油スタジアムは満員の観客で埋まり、ザスパがちょっとしたチャンスをつかむ度に大歓声があがった。試合は終始ガンバペースだったが、大声援に後押しされたザスパは最後まで諦めず、後半42分のゴールで引き分けに持ち込んだ。名門であればあるほど、J2の敵地ではそうした"プラスアルファの力"にも打ち勝たなければならないのだ。

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