レッズ、ガンバサポからジュビロサポに送る「J2の心得」

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 Jリーグで3度(1997年、1999年、2002年)の優勝を誇るジュビロ磐田が今季、J2降格の憂き目にあった。1994年にJリーグ正会員(1993年はJFL)となったクラブにとって、J2で戦うのは来季が初めての経験になる。かつての"名門"チームと、それを支えるサポーターには、この先、どんなイバラの道が待っているのだろうか――。

来季J2の戦いに挑むジュビロサポーターは今、どんな思いでいるのだろうか。来季J2の戦いに挑むジュビロサポーターは今、どんな思いでいるのだろうか。
「初めてのJ2ではチームが苦しんで、サポーターとして見ているのがつらくて、すごく厳しい戦いでした」

 第32節の川崎フロンターレ戦を控えた11月23日、浦和レッズの赤いユニフォームに身を包んだ相川さん(仮名/女性・40歳)は、2000年に1度だけ参戦したJ2の舞台をそう振り返った。埼玉スタジアム周辺には優勝争いの興奮が渦巻いていた最中、嫌な過去を思い出した相川さんの暗い表情に、その過酷さを想像させられた。

 1999年のJ1(16チーム)で年間15位に沈んだレッズは、翌年11チームで戦うJ2に参戦。開幕8連勝と最高のスタートを切ったものの、シーズン中盤以降は思うように勝ち点を重ねられなくなった。その理由について、相川さんはこう話した。

「相手はガチガチに引いて守り、なかなか勝たせてもらえませんでした。『浦和にひと泡吹かせてやろう』と張り切って、本当にガツガツ当たってきましたからね。『選手がケガをするのでは』と心配で、見ていて嫌な気分でした。グラウンドも『なんでこんなところで戦わなければいけないのか』っていうくらいボコボコだし。ホント、つらい1年間でした」

 チームの不甲斐ない戦いぶりに怒ったサポーターたちが、選手を乗せたバスを取り囲む事件まで勃発した。相川さんがうつむきながら当時を回想する。

「アウェーのアルビレックス新潟戦(第18節/1-6の敗戦)だったと思います。退場者をふたり出して、イライラが募る試合展開で負けました。サポーターにも『俺たちは(J2のクラブとは違う)浦和レッズだぞ』というプライドがあって、それが変な方向に爆発しちゃったんでしょうね。あれは、悲しい出来事でした。以降、チームはズルズルと後退。選手たちも負けられないというプレッシャーから、消極的なプレイが目につくようになっていった。モヤモヤする思いがどんどん膨らんでいったのを覚えています」

 レッズのように充実した戦力や人気を誇れば誇るほど、相手は敵意剥き出しでかかってくる。J2はそういった厳しさが潜むリーグだ。

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