ジュビロ、J2降格。王者転落を招いた「三大要素」 (2ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

"リーダー不在"も低迷を招いた要因のひとつだろう。かつては、ピッチを仕切っていた元ブラジル代表主将の闘将ドゥンガや、日本代表の10番を背負っていた名波浩といった存在感のあるリーダーがいた。しかし、「今はチームを引っ張ろうとする選手すらいない」と、あるクラブ関係者は嘆く。

 その影響が顕著に表れていたのが、試合終盤での失点の多さだ。後半30分以降の失点19(第31節終了時点)は、リーグワーストタイ。第10節のFC東京戦(2-2)や第16節のベガルタ仙台戦(1-1)など、先行しながら終盤に追いつかれたり、逆転されたりするケースが何度もあった。

 それこそ、まさに「リーダー不在が原因」と前出の関係者は断言する。
「リードした終盤になると、選手がオドオドする。チームを落ち着かせる選手がいれば、失点の一部は防げたはずだ」

 また、今季は第31節までにドローが11試合、1点差での黒星が13試合もあった。それも「頼れるリーダーがいなかったから」と、別のチーム関係者がぼやいた。
「チームを鼓舞して、叱咤激励するような存在がいれば、あと勝ち点20は上積みできた」

 その問題について、関塚監督は明言を避けていたが、「できれば、ボランチのポジションの選手で......」と漏らすなど、チームを引っ張ってくれる選手が出てきてくれることを期待していたふしはある。だが、絶対的なリーダーは最後まで登場することなく、降格の時を迎えてしまった。

 そして、名門を培ってきた"ジュビロカラー"の払拭こそ、降格を招いた最大の原因だろう。

 始まりは、外部から来た強化スタッフが、ジュビロ在籍わずか1年の森下監督を指揮官に任命したことだった。以来、前身のヤマハ発動機時代からクラブ強化に奔走してきた人材や、ジュビロの黄金時代を築いた面々が選手の育成やチーム強化に関わることが減った。

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