レッズ、7年ぶりの栄冠へ。原口元気に託された「任務」 (2ページ目)

  • 小齋秀樹●文 text by Kosai Hideki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 今季、開幕戦から結果を残せたのも、その証だ。ドリブルでチャンスを作り、ゴールを決める――原口本来のスタイルを、ついにプロの世界でも確立しつつあった。鹿島戦のゴールは、まさにその真骨頂を示すものだったのだ。

 また、それだけに止まらないのが、今の原口だ。

 開幕戦で結果を出して、初のふた桁得点を記録するなど、今季の原口は順風満帆のように見えるが、実は苦悩の月日も過ごしている。8月3日(第19節)のサンフレッチェ広島戦の得点を最後に、10月5日(第28節)の大宮アルディージャ戦までゴールから遠ざかっていた。

「点が取れなくても、パフォーマンスが良ければいいんだけど、両方できなくなっちゃうのは問題。どちらかないとチームにまったく貢献できないので、本当に苦しかった」

 原口は苦悩の2カ月をそう振り返ったが、その間、彼が「せめて――」という思いで注力していたのが、守備での貢献だった。

 ゴールのために取り組んできたトレーニングは、守備でも存分に生かされた。守りで貢献したいという思いは以前から高かったが、軸のブレない身体が今まで以上に粘り強い守備を可能とし、相手の攻撃の芽を摘んだ。原口と同じ左サイドでプレイするMF宇賀神友弥は、原口が会心のゴールを決めた鹿島戦後、ゴールと同等に原口の献身性をも高く評価している。

「今日、(試合に)勝てた理由のひとつは、特に左サイドでは、今まで以上に(原口)元気が守備のスイッチを入れてくれたことにあると思います」

"ドリブル突破からゴールを決める"ことにプラスして、守備のために走る――それが、現在の原口のスタイルなのだ。本人は「まだまだ足りない」としているが、求めている姿はそこにある。そして、周囲の原口に対するイメージもそこまで膨らんできた。

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