ベスト16敗退も、U-17が示した「世界との戦い方」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 前回大会のベスト8に届かず、ベスト16で敗退――。

 今回のU-17ワールドカップにおける日本の成績を記せば、そういうことになる。2年前の成績に及ばず、パッとしないものだったのかもしれない。だが、そんな結果に反して、今回のU-17日本代表の戦いぶりは、実に興味深く、率直に言っておもしろかった。決勝トーナメント1回戦でスウェーデンに敗れるまでの4試合、たっぷりと楽しませてもらった。

 その興味深さや、おもしろさの要因は、ただ一点。「日本らしいサッカー」を徹底的に追求していたことにある。

スウェーデン戦ではボールポゼッション率75パーセントを記録した日本(写真はFW杉本太郎)スウェーデン戦ではボールポゼッション率75パーセントを記録した日本(写真はFW杉本太郎)「日本らしいサッカー」とは、さまざまな場面で聞かれる言葉だが、このチームが目指していたのは、日本の短所を認識したうえで、その穴を埋めようと『ないものねだり』するのではなく、日本の長所を最大限に生かそうということだ。

 例えば、日本にはサイズのある選手が少ない。とりわけ、それが響くのは、センターバックというポジションにおいてである。

 だからと言って、無理に身長の高い選手を連れてきても、俊敏性に欠け、足もとの技術が拙(つたな)くては意味がない。もちろん、サイズがあって、技術も高いという選手がいるに越したことはないのだが、見つかる確率は低い。ならば、そうした選手がいなくても勝てるサッカーをしようというのが、吉武博文・U-17日本代表監督の考え方だ。

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