首位奪回。「オヤジ軍団」横浜FMが見せた広島との違い (2ページ目)

  • 益田佑一、佐野美樹●撮影 photo by Masuda Yuichi,Sano Miki

 それに、F・マリノスは、アウェー戦でもサンフレッチェに3-1で勝利している。それぞれの戦い方、守備のやり方などを考えると、このカードではマリノスのほうが"はまる"というのもある。

 守りの際のサンフレッチェは、5バック気味にしてブロックを固め、その守備網に敵が入ってくるのを待ち構えるスタイルで、相手にとってはスペースがなくて、なかなく崩しにくい。すると、相手は焦(じ)れて、無理やり突破を図ったり、遠目からでも無理やりシュートを打ったりして、そこでミスが出る。それが、サンフレッチェの狙いとするところで、相手のミスからボールを奪うと、すかさずスピーディーなカウンターや、ボールポゼッションのうまさを生かしてチャンスを演出。F・マリノス戦の前までは、その戦い方がうまくはまって3連勝を飾ってきた。

 しかしその戦い方が、F・マリノスには通じない。ベテランが多いだけあって、やはり"大人"なんだと思う。この日も、焦れたり、イライラしたりしなかった。無闇に仕掛けていったり、無謀なパスを狙ったりすることが少なく、そのうえでサンフレッチェのカウンターに対してもきっちり準備を整えていた。また、兵藤に代わって出場したMF佐藤優平が気の利いたポジショニングをとっていて、MF中村俊輔やMF富澤清太郎、MF中町公祐らと、リズムのいいボール回しを生み出す時間帯を作っていたのもよかった。

 それにしても、ピッチに立つメンバーの半数が30歳以上というF・マリノス。厳しい夏場も乗り越えて、ずっと上位をキープしてきたのはさすがだ。その要因は、コンディション調整がうまくいっていることもあるだろうが、ズルズルと負けることなく、常に結果を出しているからだろう。それが、高いモチベーションになって、今の成績につながっていると思う。さらに、前回の優勝(2004年)を経験しているのは、GK榎本哲也、DF栗原勇蔵、DF中澤佑二、そしてドゥトラの4人だけ。勝ち星を重ねられるのは、チーム全体の優勝への思いの強さもある。

 メンバーを固定しているようで、意外にもチーム内での競争がしっかり図れていたのも大きい。この試合でも、兵藤とドゥトラがいなくても、代わって出場した佐藤とDF奈良輪雄太がきっちり穴を埋めた。他にも、MF端戸仁やMF小椋祥平、DFファビオなどが控えていて、選手層はここにきてより厚くなっている。FW浅野拓磨やMF野津田岳人といった、ジョカー的な存在がいるサンフレッチェと比べると、パンチ不足なイメージがあったけれども、そうした心配をする必要はなかった。

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