ザックジャパンを支配する閉塞感の正体 (4ページ目)

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 日本も以前はヴェルディ川崎、鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田、横浜マリノスといった、そのときのJリーグでトップのクラブから、代表に選手が多く選ばれている時代があった。だが今は、多くの選手がヨーロッパに渡り、世界レベルで貴重な経験を積んでいる代わりに、ひとつのクラブの選手で「ベース」を作ることが難しくなっている。だからこそ、メンバーを固定し、できる限り同じ時間を共有する必要がある。

 とはいえ、メンバーを固定するデメリットは当然ある。今のザックジャパンは競争原理が働かず、閉塞感が漂っているのも間違いない。また、本田や香川はW杯本大会のメンバー入りはほぼ「当確」だが、柿谷はまだ「当落線上」だ。加えて、最初に触れたように先発11人の試合勘やコンディションが揃っておらず、選手個々のベクトルが同じ方向にまとまりにくい状況にある。

 メンバーを固定するのが理想ではあるが、マンネリを避けるために、刺激を与え、何かしらの手を打たなければならないときもある。それこそが代表監督の難しさであり、監督の腕の見せどころでもある。

 香川や吉田を起用し続けるのか。森重や山口を抜擢するのか。11月の欧州遠征でザッケローニ監督が、閉塞感を打ち破る手を打つことに期待したい。

飯尾篤史/構成


プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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