山口素弘が語る「横浜フリューゲルスの思い出」 (4ページ目)

  • 松本直也●撮影 photo by Matsumoto Naoya

 フリューゲルスで、僕はさまざまな人と出会うことができた。加茂監督はもちろんのこと、エドゥー、サンパイオ、ナラ、アツ、前田浩二......。それに同期入団で7年間ずっと一緒だったサツ(薩川了洋)は、特別なチームメイトだ。まさか、サツが監督をやるとは思わなかったが(現JFLのFC琉球監督)、近い将来、監督として対戦するのを楽しみにしている。

 フリューゲルスでやり残したことは、やはりリーグ優勝だ。自分が育ったチームが、たとえJ2に降格していても、存続していれば、いつかはリーグ優勝の瞬間を見届けることもできるかもしれないし、タイミングが合えばチームに関わることもできる。でも、なくなってしまった今では、それはもう叶わない。

 今の若い世代のサッカーファンが、横浜フリューゲルスの存在をどこまで知っているのか、僕にはわからない。ただ、あの15年前の2カ月間の怒り、悔しさ、苦しさ、そして悲しみは、もう誰にも味わってほしくはない。

 今でも毎年、秋が深まる10月末になると、僕は横浜フリューゲルスを思い出す――。

渡辺達也/構成

プロフィール profile
山口素弘 Yamaguchi Motohiro
1969年1月29日群馬県生まれ。
91年に全日空サッカークラブ(横浜フリューゲルスの前身)に加入。99年に横浜フリューゲルスが消滅するまで主軸として活躍し、その後は名古屋、新潟、横浜FCでプレイ。日本代表としては1998年W杯フランス大会に出場した。2007年引退後、解説者を経て、2012年3月より横浜FC監督を務める。

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