ワントップが変わると日本代表のサッカーはどう変わるのか? (3ページ目)

  • photo by Noto Sunao(a presto)

  強豪国にゴール前の中央を固められた時、サイドからクロスを入れ、FWが飛び込んでいく攻撃も、やり方としてひとつあっていい。その場合、ターゲットがいないとサイドの選手もクロスを上げづらいので、中央のターゲットになる豊田のようなタイプは重要だ。

 豊田は、精神面も含めて力強さのある選手で、前線でハードワークもできるし、ゴール前の密集に飛び込んでいく強さと勇気があり、苦しい時に流れを変えてくれる泥臭さを持っている。

 2列目の3人からすると、豊田のプレイスタイルは、柿谷や大迫とはまたタイプが異なるので、違う戦い方になるのかもしれないが、そうしたオプションを持っておくのは必要なこと。試合の状況に応じて途中から投入するカードとして、豊田のような選手がいてほしいと思うし、彼の高さ、速さは前線で有効だ。それで相手DFをまどわせたり、慌てさせたりすることができるはずだ。

 中央突破だけで強豪に勝てるのであればそれでもいいが、中央突破で強豪国のDFを崩すには、メッシのようなスーパーな選手がいないとなかなか難しいし、バルセロナやスペイン代表のようなパス回しができなくてはいけない。日本代表もスペインに近い方向のスタイルを目指しているとは思うが、そこまで高いレベルにはまだ到達していないと考えると、サイド攻撃という方法があってもいいと私は思う。

 そして、サイドからクロスを入れた時の「ゴール前の迫力」ということに関していうと、高さで勝つことに加え、豊田のような泥臭さのある選手が必要になる。つまり、豊田自身がゴールを決めるだけではなく、彼がDFと競り合ってつぶれることで、そこにスクランブルが生じて、ほかの選手がゴールを決める可能性が出てくる。

 柿谷、大迫、豊田ら、FWにはそれぞれの特長があり、それに合わせた攻撃のスタイルがあるはずなので、戦い方のバリエーションを増やす、複数の攻撃のオプションを持っておくという意味で、前線の選手の組み合わせをザッケローニ監督がどうしていくのか、今後も注目したい。

 10月の欧州遠征で招集されたハーフナー・マイクも含めて、ワントップに入るFWそれぞれの特徴をつかんだうえで、2列目の3人がどう絡んでいくか。この先のワントップのポジション争い活性化に期待したい。

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