データは最下位でも首位キープ。横浜F・マリノスの「隠れた正体」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 つまり、APTが長くなるほど、横浜FMの成績は明らかによくなっているのである。スタミナに不安のあるベテラン中心のチームが老獪に“省エネ”で試合を進めている結果、首位に立っている――そんな考えはどうやら短絡的すぎるようだ。

 C大阪のレヴィー・クルピ監督も「マリノスは前からプレスをかけてくるし、ポゼッションも非常にいいチーム」だと話していたが、横浜FMは平均年齢で5歳近く下回るチームに対して運動量の面でも負けてはいなかった。

 横浜FMボランチの富澤清太郎は「動きすぎて(ギャップができて)やられることのほうが怖い。常に頭をフルに使って、細かくポジションを考えて動き続けている」と語るほどで、当然、APTがJ1最短であることについても「気にしていない」。それもそのはず、暑さのピークを過ぎ、9月もなかばを迎えようというのに、横浜FMはスタミナ切れを起こすこともなく、攻守にアグレッシブな姿勢は変わることがない。樋口監督は語る。

「選手は暑さのなかでもよく走るし、頭の切り替えもよくできている」

 数字だけを見て、今の横浜FMが内容のともなわないサッカーで結果だけを手にしていると思ったら大間違い。横浜FMは首位の座にふさわしい、質の高い試合を提供しているのである。

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