ザックジャパンはウルグアイ戦の反省を生かせるか? (2ページ目)

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 日本人はどうしてもフィジカル面で強豪国より劣るので、ひとりで守ることはできない。南米王者のウルグアイや、コンフェデ優勝国のブラジルのアタッカーは、1対1で守りきれる相手ではない。スアレスやフォルラン、ネイマールを相手にひとりではなかなか守れないということだ。そのことを前提にすべきだろう。もちろん1対1で守ることができればベストだが、日本には世界トップクラスのCBはいないのだから、ポジショニングや連動でカバーをしていくべきだ。

 だからこそ、チーム全員が連動して守備をしなくてはいけない。もちろん本田圭佑が言うように「個の力」を上げることは当然必要だ。ただし、それと同時に、全員が規律を守ってシステマティックに連動できることも必要になる。組織として、チームとしてまとまることは、日本のストロングポイントだと私は思う。コンビネーションを高めていくことで、強豪に勝利する可能性を少しでも上げていくことができるのではないだろうか。

 日本代表監督に就任したときにザッケローニ監督が言っていたのは「バランス」ということ。攻撃と守備は表裏一体。いい守備をすればいい攻撃につながり、いい攻撃ができればいい守備もできる。そのバランスを重視している監督だと、私は思っている。

 攻めながら守りの備えもする。いい形で攻撃をしなければ、守備は難しくなる。反対に、守りながら攻撃に転じる準備をする。いい守備をしなければ、いい攻撃につながりにくい。

 ウルグアイ戦は、そこのバランスが悪いという印象だった。ゴール前までは行けるが、そこから多くの決定機をつくりだせなかった。「肝心なところではやらせない」というゴール前の相手の守備ブロックを突破できなかった。強豪国にゴール前を固められたときにそれを崩して行ける術が今の日本にあるかというと、そこまで強烈なものはなかった。そして、ボールの失い方が悪かったので、守備で後手に回り失点を重ねてしまった。

 それに対して、ウルグアイは点をとってリードしてから、ゲームをクローズするために守りきることができるチームだった。引いて守るときと攻めに出て行くとき。今どうするべきなのか、ウルグアイは全員の判断がスムーズにつながっていた。こうした「試合運びのうまさ」というものは、チーム全員の意識の共有ができていないとなかなかできない。

 サッカーというスポーツは、そのときそのときの状況を把握して、戦いかたを変えていく競技だ。今スローダウンすべきなのか、速攻なのか、ラインを高くするのか、低くするのか。もちろん監督が指示を出すこともあるが、試合の間ずっと全員に指示を出せないのだから、ピッチ上で選手それぞれが対応しなくてはいけない。

 しかし、ウルグアイ戦での日本代表は、個々の判断にバラつきがあり、チームの意志統一がいまひとつの印象だった。また、コンフェデのイタリア戦では2点リードしてから、リードを守るための「試合のコントロール」ができなかった。

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