鈴木大輔(柏)が語る「CBとして代表で守ることの面白さ」
「プロに入った当初は、高校のときとは違うスピードを目の当たりにしました。でも、高校まではできていた手応えもあったので、かなり悩みましたね。自信を失っていたこともありますよ。何より自信がないと、練習でもミスが出ました。先輩選手と風呂に行くと体の作りの違いにショックを受けたり。でも、自分の中では自分に自信を持つことが大事だと考えてきたから、自分のことを信じようと思いました」
鈴木は続けてこう述懐している。
「今振り返れば、2010年は転機だったと思います。Jリーグで試合に出られないことで、経験もできない。だから、アジア大会で(Uー21代表)代表に呼んでもらったとき、“絶対に結果を残さないと”と思いました。そんな中でチームに良い流れができ、優勝することができたんです。その流れで関さん(関塚隆監督)にも継続的に呼んでもらえて、ロンドン五輪につながった」
どこかで流れを引き寄せない限り、プロの世界では立ち行かない。鈴木はそれを身をもって知っている。自分を信じ続けられる力を持っていたからか、それだけの実力があったのか。下積み生活から抜け出すと、4年目は24試合出場、5年目は28試合出場と新潟の守備陣を牽引するようになった。
しかし鈴木は新潟のリーダー的立場に甘んじず、2013年シーズンには5年間所属した愛すべきクラブを後にし、強豪の柏レイソルに新天地を求めている。
「柏に誘ってもらったとき、『守備も攻撃も評価しているが、CBはたくさんいて、そこで勝負して欲しい』と言われました。最後の『勝負して欲しい』という言葉に一番引かれましたね。一回の練習で調子が悪かったら試合メンバーから外れる、その緊張感を求めていましたから」
実際、鈴木はCBとしてスタメンを奪うのに四苦八苦することになった。右サイドバックとしてプレイする機会が多く、足踏みしている印象もある。しかし本人は、“急がば回れ”と捉えているという。
「必ずプレイの幅は広がると思っています」
彼は理路整然と語る。
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