鈴木大輔(柏)が語る「CBとして代表で守ることの面白さ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • スタジオ・アウパ●写真

 2013年2月のラトビア戦を前にして、アルベルト・ザッケローニ監督は鈴木を招集候補選手に入れていることを明言していた。その高評価は確固たるものだろう。なにしろ石橋を叩いて渡る性格のザッケローニが、柏レイソルでCBとしてレギュラーを取りきったとは言えなかった鈴木を、7月の東アジアカップで選出し、オーストラリア戦で抜擢しているのだ。

 鈴木は星稜高校で頭角を現して以来、有望なルーキーとして注目されてきた。2007年には柿谷曜一郎、斎藤学らとともに、CBとしてUー17ワールドカップに出場。09年にUー20として参加した東アジア競技大会では決勝に進出し、2010年にはアジア大会で7試合に出場して優勝を経験した。そして2012年のロンドン五輪では吉田麻也とCBを組み、ベスト4進出に貢献している。

「次世代を担うセンターバック」

 その称号に違和感はないだろう。

 鈴木のディフェンダーとしての特性は、まさにディフェンダーらしい性分にあると言える。慎重で用心深く、一方で敵に対しては勇敢に立ち向かう。ディフェンダーは自陣を守り抜くために、受け身での判断・選択を迫られるが、その部分でのミスが少ない。例えばボランチを長く経験してきた選手はリスクを冒(おか)してインターセプトに行くことがあるが、彼は安易な守り方を選択せず、辛抱強く対処できる。

「頭を使う、駆け引きが楽しいんです」

 そう語る鈴木は不敵だ。守るという行動は、基本的に受け身であり、精神的摩耗が激しいが、彼にはそれを楽しめる異能がある。

「例えばクロスの対処で、ボールが上がる直前、ファーにFWが逃げてからニアに入るという動きで失点した後ですが。次は絶対に同じようにはやられたくないし、やられてはいけないですからね。FWがファーに逃げるときにボールの方を見ながら、わざと一歩、その動きに付いていくようにしたんです。それでFWをニアに誘い込んで止められるようにしました。

 でも、FWの動きに一歩合わせて付いていかないとFWは"付いてこない"と判断し、そのままファーに逃げていってしまうんですよ。だから、片手でFWを触りながら、どんな動きにも対処しながら守るようにしています。自分と相手とボールとの距離感を保つのが大切。なにより一回やられた経験が、次の駆け引きとして生きるんだなと実感しています」

 一人の守備者として、鈴木は論理的な答えを導き出そうとする。例えば試合によって、自分の中でバイオリズムが変化するのは敏感に感じる。そこで悪い時をいかにして凌ぐのか、そのメンタルコントロールも欠かさない。

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