2013.08.24

小林祐三(横浜FM)のSB論。「守りでは誰にも負けない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Fujita Masato

 27歳になる小林は、Jリーグでプレイして10年目になる。本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司らと同じ北京五輪世代だ。

 2004年、静岡学園を卒業後にJ1の柏レイソルに入団。1年目でJリーグ9試合に出場している点は特筆に値するだろう。ディフェンダーはアタッカーよりも経験がモノを言うポジションだけに、高卒ルーキーは苦労する。ところが、彼は2年目にして19試合に出場し、早々と準レギュラーの座を勝ち取っている。2006年からは2010年まで、不動のレギュラーとしてプレイすることになった。

 そして2011年に横浜F・マリノスへ移籍してからも3シーズン、先発の座を譲っていない。

 Jリーグでは、カップ戦も含めると約300試合に出場。北京世代のJリーガーとして、これだけ着実に経験を積んだディフェンダーは実はいない。

「とにかく一対一に強い」

 それが従来の小林に対する評価だ。噛みついたら放さない猛犬。たしかに走力に長(た)け、なかなか振り切られない。

 しかし彼の守備者としての異能は、連係する力にある。

 例えば今シーズンのヤマザキナビスコカップ、グループリーグ天王山となった磐田戦における、山田大記とのマッチアップは象徴的だ。Jリーグ屈指のアタッカーを相手に、右ボランチの中町公祐、右MFの兵藤慎剛、右CBの栗原勇蔵と常に挟み込むような形を形成。ディレイさせ(攻撃を遅らせ)、スライドさせ、あるいは体を合わせ、変幻な対応で3-0の快勝に貢献した。

 効率的で柔軟。守備において決して硬直した考えを持たず、「いかに持ち場を守るか」を優先し、周りを使える。小林はその連係力で、ジョルジ・ワグネル、ジュニーニョら個の力のある選手をも簡単に封じ込めている。

「周りの選手をこき使ってますね」と小林は悪戯(いたずら)っぽく笑う。

「昔は『守備の人、一対一に強い』と書かれて、自分でもいい気になって自信満々に言ってたと思いますけど、下手くそでしたね(笑)。今の方が、安定した守りができていると思います。ただ、昔お世話になった指導者の方からは、『いつからお前はそんなにさぼるようになったんだ』とからかわれますけど」

 小林は静岡学園時代にはFW、サイドアタッカーとして入学し、2年生でCBにコンバートされている。プロに入ってからも、CB、ボランチ、左SB、そして右SBを経験。様々なポジションの経歴は小林のプレイセンスを高めた。それぞれのポジションの動きや特性を理解した上で味方の動きを常に読み、ボールの行方を計算し、自分の態勢を取れるようになったのだ。

 そして巡り会った右SBは、持ち前の一対一の強さと連係力が存分に生きるポジションだった。完全に右SBにコンバートされたのは、2009年にネルシーニョが柏の監督に就任してからだ。しかし、実は高校時代にその特性を見抜いていた人物がいたという。