【ACL】初のアジア制覇を目指して。柏レイソルの静かなる闘志 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 結果は1-1の引き分けとはいえ、第1戦で貴重なアウェーゴールを手にしたアルシャバブが優位に立った。ホーム・アンド・アウェーの戦いにおける原則に照らせば、そう見るのが自然であろう。

 ところが、柏の選手に不思議なほど悲壮感はなかった。決して無理に強気を装うわけではなく、あくまでも淡々と試合を振り返り、ごく自然に次の第2戦へと視線を向けた。先制ゴールを決めた工藤が語る。

「チームとしてボールを持つ時間が長くなかったが、選手交代で流れをつかんだのは収穫だし、ネガティブには考えていない。反省はしなければいけないが、試合はどんどんやってくるので、(気持ちを)切り替えるしかない」

 工藤自身、ACLではこれが4試合連続ゴール。そうした実績が堂々と前を向かせるのだろう。

 加えてチームも、今季はACLで8試合(グループリーグ6試合、決勝トーナメント1回戦2試合)を戦い、6勝2分けと無敗。特にアウェーでは4戦全勝と無類の強さを見せている。少なくともこれまでの結果から考える限り、ホームで引き分けてアウェーに乗り込むことは、柏にとって悪くない展開なのだ。

 DF鈴木大輔もまた、「少しDFラインが低かった時間はあったが、最後のところは体を張って守れた」と語り、「攻撃については後ろからの組み立ての精度を上げていかないといけないが」と前置きしつつも、「ポジティブな内容だった」と締めくくった。

 Jリーグ勢が次々に脱落していくなか、唯一ベスト8に勝ち残った柏。これまでの苦しい戦いのなかで、着実にたくましさを身につけているのは間違いない。何より激変する環境に適応しなければならないアウェーゲームに苦手意識がないのは心強い限り。広大な地域に異なる文化が混在するアジアにおいて、それは大きな強みとなる。

 決戦となる第2戦を見据え、ネルシーニョ監督は言う。

「2戦目もハードなゲームになるだろうが、まだ1カ月あり、その間に(J1、ナビスコカップ、天皇杯が)7試合ある。一戦一戦結果を残しながら、今日よりいいゲームができるように改善していきたい」

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