過去最高の完成度。U-18日本代表、注目の選手は? (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki photo by AFLO

 その中心にいるのが、今大会でキャプテンを務めた松本昌也(大分)だ。2011年のU-17ワールドカップで日本がベスト8に進出したときのメンバーで、このチームでもボランチとして攻守両面をつかさどる。1995年の早生まれで、学年的には最年長ということもあり、「やるべき仕事をしっかりやって、ピッチ上でチームを引っ張っていくという意識は持っている」と、語る言葉も力強い。

 一方、すでに来季からの清水入りが内定している金子翔太(JFAアカデミー福島)は、攻撃の中心的役割を担う。159センチとかなりの小兵ながら、スピードがあり、強烈なシュートを放つパンチ力も兼ね備える。フィニッシュとゲームメイクの両面で力を発揮できる、多才なアタッカーだ。

 また、これまでの日本のMFはパサータイプに偏ることが多かったものの、このチームには関根貴大(浦和ユース)、小川直毅(G大阪ユース)、田村翔太(湘南)といった、縦への突破に優れたサイドアタッカーが揃っている点もおもしろい。と、同時に、長年の日本の泣き所でもあるセンターバックにも、三浦弦太(清水)、内山裕貴(札幌U-18)、ハーフナー・ニッキ(名古屋)と、180センチ超の大型選手が並んでいるのだから(ハーフナー・マイクの実弟ニッキは197センチ)、今回のU-18代表はこれといった穴が見当たらないほど、優れた人材が各ポジションに揃っている。

 しかも、これだけ多彩な顔ぶれが完成度の高いサッカーを展開しながら、まだ他に、Jリーグとの兼ね合いで招集されなかったメンバーもいるのだから驚かされる。南野拓実(C大阪)、深井一希(札幌)、高木大輔(東京V)といった選手がそれに当たるのだが、つまり彼らは、すでに所属クラブで必要な戦力としてみなされている選手ということだ。その事実だけでも、彼らの能力の高さがうかがえる。

 なかでも南野は、J1の上位クラブで活躍する、いわばこの世代の『顔』。鈴木監督が、「南野はシュートもうまいし、彼がひとりいるだけで違う」と言えば、キャプテンの松本も、「Jでも試合に出て、いろんな経験をしている選手なので刺激になる。ゴール前での決定力があるし、(南野が入ることで)攻撃のバリエーションが広がる」と信頼を寄せる。

 しかも彼ら3人は、松本同様、揃ってU-17ワールドカップでベスト8を経験したメンバーである。他にも望月嶺臣(名古屋)がおり、これだけ国際舞台を経験している選手が揃うのは珍しく、今後厳しい戦いを勝ち抜いていくためには心強い材料となるはずだ。

 果たしてベストメンバーが揃ったとき、その強さはどれほどのものになるのか――。久しぶりに、「早く次の試合が見てみたい」と思わせるU-18日本代表が現われたように思う。今年10月には、U-20ワールドカップ出場へ向けての第一歩となる、AFCユース選手権の予選が中国で開かれる。4大会ぶりの世界大会出場へ、まずはその強さを存分に見せてつけてほしいものである。

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