2013.08.07

Jリーグにビッグクラブが存在することの功罪を考える

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 スペインであれば、二強以外のクラブで、戦術やマネジメントを監督がうまくやり繰りした結果、二強に食らいつく、もしくは上回った時、その監督の手腕やそのクラブの選手の評価が高まる。「あんな少ない予算のクラブが、あんなにお金をかけているビッグクラブに勝った」というサプライズが話題となる。

 そして、ビッグクラブはいつも勝つことを求められるため、選手はそのプレッシャーの中で戦う経験を積むことができる。これが、ビッグクラブがあることのメリットと私は考えている。常勝を求められ、義務付けられるプレッシャーの中でどうやって戦っていくか。そういうチームが負けた時にどういう状況になって、それをどうやって克服していくかということを、選手が身をもって知る。そうした経験のできるクラブが、Jリーグにはない。

 つまり、勝って当たり前の中でずっとプレイをしていくことの難しさを知り、それを乗り越えていく。そういうたくましさは、ビッグクラブでないと経験できないということだ。

 日本代表も、いつも勝つことを求められる。相手が引いて守りを固めても勝たなくてはいけない。点を取らなくてはいけない。どんな環境でも、常に勝利を求められる。そのことを所属クラブで経験している選手が増えることは、代表の強化にもつながるはずだ。

■Jリーグにビッグクラブになれるチームはあるのか?

 私は、Jリーグでビッグクラブになる資質がある第1候補は浦和だと思っている。6万人以上入るサッカー専用スタジアムがあり、さいたま市は人口が100万人以上。浦和と大宮というふたつのクラブがあっても、サポーターの数、つまり観客動員数が多いことを加味すると、可能性が一番高い。商圏エリアの人口が多く、観客動員数が多いので、資金を集めやすい。その資金力を選手獲得に還元すればいい選手を集めやすい。いい選手を集めれば強いチームになる。

 同じような条件で考えると、横浜F・マリノスもあてはまる。横浜という街の大きさと、スタジアムの規模は十分だ。集客力とスポンサーの問題はあるが可能性は高いだろう。また、J2に落ちてしまったガンバ大阪も、ACLで優勝経験があり、リーグ制覇もしている名門で、天皇杯、ナビスコカップのタイトルも獲得しており、大阪という大都市のクラブ。同じように名古屋もリーグ、天皇杯の優勝経験があり、ビッグクラブになる条件を備えている。問題はスタジアムで、観客動員数は資金力にも、注目度にもかかわってくる重要な要素なので、観客動員をどう増やしていくかが、今後の課題のひとつだろう。

 実績を考えると、鹿島、磐田が優勝回数、タイトル数の多さから考えて、ビッグクラブになってもおかしくない(鹿島はリーグ優勝7回。磐田は3回)。ただし、磐田も鹿島もホームタウンの規模の問題がある。町の規模は小さくとも、熱狂的なサポーターが8万人入るドルトムントのようになれれば可能性はあると思うが、スタジアムの規模なども含め、ビッグクラブになるための課題は少なくないのではないかと思う。

 いずれにしても、私としては、日本を代表するクラブとして、全世界にその存在を発信できるようなクラブがあってほしいと思うし、ビッグクラブを目指すと宣言するクラブが出てきてほしい。話題作りという観点からも、お金や優秀な選手の集中しているちょっと嫌われ者ぐらいのビッグクラブがあってもいいのではないかと思っている。

「プレミアリーグ構想」が取りざたされることもあるが、Jリーグがこの先の10年、20年でどのように推移していくのか、そして、ビッグクラブが誕生するのかどうかに注目していきたい。

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