プロサッカー選手育成のために必要な環境とは? (4ページ目)

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

■「日本らしい」育成のかたちへの期待

 Jリーグが創設されて20年、紆余曲折はあるものの、優秀な若手が育っているのは事実であり、悲観する必要はまったくない。今後、高校や大学とJリーグクラブの提携など、「日本的な育成」が形成されていくかどうかにも注目したい。

 高校のサッカー部の先生に話を聞くと、「今の日本代表チームは高校出身の選手が多い」という意見もある。そして、それを聞いたJクラブのユースは一生懸命改善して、育成方法を考えるだろう。そんな切磋琢磨が、日本の育成を発展させていくパワーになっていくのではないかと思う。学校とクラブが両方あって、お互いが刺激し合っていくのが日本のかたちになりつつあるのではないか。

 グラウンドなどの施設に関しては、資金をかけている大学や高校のほうが、Jクラブより充実しているケースもある。また、プロクラブと学校で指導者のレベルが全然違うかというと、高校や大学で素晴らしい指導をしている監督もいるし、S級ライセンスを持っている指導者もいる。それがプロの契約形態なのか、学校の先生かというだけの違いで、これはヨーロッパとはまた異なる土壌だろう。

 また、本田圭佑や中村俊輔のように、Jリーグのジュニアユースからユースに上がることができずにドロップアウトしてから高校サッカーで結果を残し、プロになった選手もいる。そうしたケースも含めて、日本全体を見た時に、多様な育成の場が存在していい。

 そのうえで、「世界で通用する選手を育成する」ということがひとつの基準になってくればいいし、さらに、今のドイツ、少し前のイングランドやフランスと同様、国全体、サッカー協会全体がバックアップしているJFAアカデミーのような育成の場もある。

 こうしたさまざまなアプローチをして若い才能を育てて、欧州のビッグクラブやワールドカップで活躍する選手が数多く出てくるように、日本全体の育成のレベルがさらに上がっていくことを期待したい。

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