「スロベニアン2トップ」不在で首位陥落。大宮は勢いを取り戻せるか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

「いいキッカー(中村俊輔)がいたので、ファールをしてFKを与えないようにという意識が強すぎて、厳しく寄せられなかった」

 なるほど、前節の反省は生かされていた。川崎戦ではDFラインを高く保ち、中盤から速い寄せでディフェンスをする、いつもの大宮が戻っていた。だからこそ、先制されても落ち着いてゲームを進め、逆転することができたのだ。

 ところが、MF渡邉大剛のトラップミスからボールを奪われ同点ゴールを許すと、試合時間残り15分で大宮はパタリと足が止まった。

 DFラインが押し上げられず、中盤でボールにプレッシャーをかけられない。その結果、中村憲剛ら川崎のMFに前を向いてボールを持たれ、次々にスルーパスでDFラインの裏を狙われた。

 決勝点は結果的にPKによるものだったが、偶発的な事故というより必然の失点だった。これまで広島や浦和の猛攻を最後までしのぎ切り、勝利を手にしてきたころの大宮なら考えられなかった現象である。

 残り15分、なぜ大宮は急失速してしまったのか。

 J1は2週連続で水曜日にも試合が行なわれ、この2週間で4試合というハードスケジュール。加えて、このところの猛暑で当然疲れはあっただろう。

 だが、それは相手の川崎にとっても同じことだ。今の大宮の場合、スタミナの問題というより、自ら主導権を握って試合を進められていない結果、そのツケが最後の15分に回ってきているように見える。

 そして、主導権を握れない原因としては、やはりFWの「ズラタンとノヴァコヴィッチの不在」に突き当たる。

 川崎戦に関して言えば、代役の2トップ(長谷川悠、鈴木規郎)は揃ってゴールを決めるなど奮闘した。鈴木は「外国人がいない試合なので、日本人で頑張ろうという意識は強かった」と語り、長谷川もまた、「お互い1点取れたし、次につながる結果だったと思う」と前を向く。

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